研究課題/領域番号 |
11430010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
瀬岡 吉彦 関東学院大学, 経済学部, 教授 (60019081)
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研究分担者 |
滋野 由紀子 大阪市立大学, 経済学部, 助教授 (90291434)
大日 康史 大阪大学, 社会経済研究所, 助教授 (60223757)
宮本 守 関東学院大学, 経済学部, 教授 (60166204)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
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キーワード | 公的医療制度 / 自己負担率 / 軽医療 / モニタリング / 民間医療保険 / 経済厚生 / OTC需要 / 健康資本 / 医療保険 / インフルエンザ / 予防接種 / 疾病予防 / 未加入 / 薬の知識 / 受診行動 / コンジョイント |
研究概要 |
本研究では、医療保険のあり方を巡って様々な角度から検討した。総合的な結論は現在の公的医療保険制度は維持されるべきであるが、特に若年世代及び軽疾病患者に対しては高い自己負担を要求すべきであるということである。各章の要約は次の通りである。 第1章:グロスマン流の「健康資本」の概念を用いて患者の自己負担率の問題を検討し、次の結果を得た。(1)老年期の患者負担率を1より小さい値で所与とすると、若年期の患者の自己負担率には経済厚生を最大にする最適値が存在する。この最適値は老年期患者の自己負担率より大きく、1より小さい。(2)重症者の自己負担率を1より小さい値で所与とすると、軽症患者の自己負担率には事前的な意味での経済厚生を最大にする最適値が存在する。この最適値は重症者の自己負担率より大きく1より小さい。 第2章:病院は患者の完全な代理人であるとの前提のもと、政府は軽医療における患者負担率を高めるほどより高い経済厚生を実現することができる、つまり軽医療は保険適用外にすべきと結論できる。もし政府が保険者の機能強化を認め、自己負担率と同時に保険者のモニタリング機能にも期待するときには、自己負担率を一定水準まで高めたほうが経済厚生はより大きくなる。ただし、このときの経済厚生は自己負担率1(=保険適用外)のときの経済厚生よりも小さい。 第3章:独自のアンケートを行い、軽医療に分類されるであろう13疾病に関して疾病あるいは自覚症状が生じた際の実際の医療受診行動あるいはOTC需要を分析した。医療受診に関しては、風邪、肩や首筋のこり、背中や腰の痛み、便秘・下痢、眼精疲労、皮膚の炎症、痔の7疾病で自己負担率が有意に負である。また、OTC需要においては、風邪、皮膚の炎症、痔の3疾病において自己負担率が有意に正である。 第4章:公的医療保険の自己負担率が高いほど直接的な病気のコストは高くなり、そのリスクを回避するために民間医療保険の需要は大きくなると考えられるが、実際には自己負担率とは無差別か、逆に自己負担率が低いほど民間医療保険の需要が大きくなるという結果が得らた。これにより我が国の現在の民間医療保険は公的医療保険を代替するものではないことが明らかにされた。
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