研究分担者 |
林田 和也 金沢大学, 理学部, 教授 (70023588)
田村 博志 金沢大学, 理学部, 助教授 (80188440)
高信 敏 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40197124)
谷島 賢二 東京大学, 数理科学研究科, 教授 (80011758)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
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研究概要 |
本研究課題の最初の動機は、B.Helffer(1994-5)のカッツの転送作用素に関する仕事とRogava(1993)の作用素ノルムに関するリー・トロッター積公式に関する仕事であった.この2年間シュレーディンガー作用素論との関連に基づいてそれまでの研究を更に発展させ,上の2つの仕事を拡張する精緻な結果を得た.研究代表者・分担者の思想の根底には「スペクトル」という共通の水脈がある. 1.一瀬,高信敏はElectronic J.Prob.の論文で,確率解析的方法により,相対論的シュレーディンガー作用素を含む一般のレビ過程に付随した作用素に対応する転送作用素とシュレーディンガー半群との差のL^p作用素ノルム評価を小さい時間tのベキにより与えた.この成果は,非相対論的・相対論的シュレーディンガー作用素の両方の場合を統一的に扱った一瀬・高信の前論文(Nagoya Math.J.1998)の結果を含むばかりではなく,ある意味で,(磁場のある場合を除いた)すべての場合を包括するより一般のポテンシャルに対し,精密な結果を与えたものである. 2.一瀬,田村英男は,2つの非負自己共役作用素の作用素和が自己共役のときに,リー・トロッター・加藤積公式が作用素ノルムで収束することを証明した. 3.田村博志は,反例を構成することにより,我々の上の2の結果をサポートした. 4.田村英男は伊藤宏と共に,2次元磁場を持つ2次元シュレーディンガー作用素に対して,アハラノフ・ボーム効果を散乱振幅の漸近挙動によって見る興味ある研究も行った. 5.谷島賢二は,シュレーディンガー方程式の基本解の無限遠方でのふるまいが,ポテンシャル|x|^αのベキαが2より大きいか小さいかによって影響が如何に現れるかに関する興味深い研究を行った.
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