研究分担者 |
安田 公美 (安田 公実) 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (40284484)
濱名 裕治 (濱名 祐治) 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (00243923)
杉田 洋 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (50192125)
松本 裕行 名古屋大学, 情報分科学部, 助教授 (00190538)
深井 康成 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (00311837)
國田 寛 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (30022552)
吉川 敦 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (80001866)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2001年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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研究概要 |
本研究においては確率振動積分の漸近挙動について体系的な研究を行った.確率振動積分は,無限次元空間であるウィナー空間Xとその上のGauss測度mを用いて,ウィナー汎関数exp[iaq(x)]f(x)を積分して得られるI(a)のことをいう.ここでiは虚数単位,aは実数であり,q, fは実数値で前者は可測,後者は可積分であるとする.qを相関数,fを振幅関数と呼ぶ.確率振動積分はその形から明らかなように測度fdmの下で実数値確率変数qの導く確率分布の特性関数を与えており,したがってその詳細な表示,漸近挙動は分布関数を知るために必要不可欠な情報を与える.この意味で確率振動積食の研究は確率解析の研究の根幹をなすものであるといえる.しかしながら,確率振動積分の研究がより興味深い研究対象となるのは,それをファインマン経路積分の数学的対応物と認識したときから始まる.ファインマン経路積分論において準古典近似,WKB近似と呼ばれる現象は,確率振動積分の漸近挙動を詳細に調べることによりその数学的裏付けを得ることになる.本研究では有限次源空間上の振動積分の研究に鑑み,確率振動積分に対し,停留位相の原理の確立を目指し基礎的事実の研究を行った.とくに2次相関数を持つ確率振動積分の複数種類の厳密表現を得,それにより相関数が2次の場合にはほぼ確定的な漸近挙動を得た.またその場合に減衰のオーダーを特徴づける量を解明し,2次相関数に付随するヒルベルト・シュミット作用素により減衰オーダーを記述することに成功した.さらに確率振動積分の漸近挙動の主要項が相関数の停留点の付近での積分に由来することを特別な相関数の場合に確認することができた.経路空間上の確率振動積分に対し,その厳密表現を幾何学的諸量で記述することに成功し,これにより厳密表現の古典力学的な意味を明らかにした.
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