研究概要 |
A型特異星の特異脈動,こと座RR星型変光星のBlazhko効果,それに早期型星β Cepheiに見られる振動が,星に強い双極子磁場があるとし,更に磁場が星の自転軸に対して傾いていると考えることによって,以下の様に,統一的に同じ描像で解釈出来る事を示した. 1.まず,A型特異星の特異脈動について,強い双極子磁場が自転軸に対して傾いている事実に着目して,脈動の基本的性質を説明した.脈動の解析から,磁場・自転軸・視線の幾何学配置,自転周期,磁場の強度を決定出来ることを示した. 2.早期型星$\beta$ Cepheiの振動は,顕著な動径振動モードを含む振動数が等間隔に並ぶ5つの振動モードと,それに近い振動数の四重極非動径振動単一項から成り立っている.星に強い双極子磁場があるとすると,動径脈動はもはや球対称ではありえず,その固有関数は四重極非動径振動成分を持つようになることに着目し,磁場が自転軸に対して傾いている状況を考えると,観測されている5重項の特性が自然に説明がつくことを明らかにした.更に,5重項の振幅比から,磁場・自転軸・視線の幾何学配置,自転周期,磁場の強度を決定した.磁場強度についての独立した観測から,この決定が正しいことが確認された.更に,単一項の振動数が,動径振動である5重項の中心項の振動数より高いことに着目し,この事から,星の進化段階とモードを同定した. 3.こと座RR星型変光星には,通常の約半日程度の周期の変光が数十日程度の周期で変動する現象(Blazhko効果)がある.星に強い双極子磁場があるとすると,動径脈動はもはや球対称ではありえず,その固有関数は四重極非動径振動成分を持つようになることに着目し,磁場が自転軸に対して傾いている状況を考えて,Blazhko効果を,単一のモードの振動の振幅が,見かけ上,磁場と自転によって変化することで説明した.
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