研究課題/領域番号 |
11440067
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
立松 健一 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (40202171)
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研究分担者 |
山本 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80182624)
関本 裕太郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (70262152)
野口 卓 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90237826)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | 超新星残骸 / 分子雲 / 相互作用 / サブミリ波 / 受信機 |
研究概要 |
本研究では、サブミリ波輝線観測をもとに、銀河系内にある超新星残骸と分子雲の相互作用の研究を行った。超新星残骸に対してサブミリ波345GHzの一酸化炭素分子(CO)ならびにミリ波115GHzの同じ分子の回転輝線を観測することにより、相互作用の確実な証拠を得た。超新星残骸W28においては、ミリ波で強度が強くドップラー速度幅の狭い成分と、サブミリ波で強くドップラー速度幅の広い成分を検出し、前者が衝撃波で加速される前の分子雲の分子ガス、後者が加速された後の分子ガスであることを確認した。このような確実な相互作用の例は、3例ほどしかなく、非常に貴重な研究対象を得た。分子輝線の励起計算との比較から、加速される前後のガスの物理量(温度・密度)を算出し、加速されたガスでの圧縮の様子を明らかにし、また、衝撃波を受けたガスの基本的な運動学的性質(運動量、エネルギー)を導出した。その結果。超新星残骸の全エネルギーのうち、相互作用で分子雲に預けられるエネルギーを定量化した。また、その空間分布を詳細に調べることにより、衝撃波による加速の前後の分子ガスが空間的に分離でき、残骸の中心から見て加速後のガスが加速前のガスに比べて0.4-1.0pc程度内側に位置していることが明らかとなった。このようにミリ波サブミリ波の観測で衝撃波面前後のガス分布を空間的に分離して捉えたのは世界ではじめてである。 富士山頂サブミリ波望遠鏡を用いて、10天体程度の超新星残骸に対して、345GHZサブミリ波CO輝線ならびに492GHzサブミリ波中性炭素原子(CI)のサーベイ観測を行った。うち3天体については、相互作用領域においてCI/CO強度比が有意に高くなっていることが示された。うち1天体W51SNRについては、光学的に薄い330GHzの一酸化炭素同位体分子^<13>COの観測を行い、CI/CO強度比の増加が、CI/COの相対存在量の増加を示していることを示した、このような結果はIC443についで2例目であり、超新星残骸が分子雲に及ぼす化学的影響という点で非常に重要な観測結果である。 超新星残骸と分子雲の相互作用の観測的研究に最適な新しい高感度サブミリ波受信機を開発した。本受信機においては、低消費電力型(1kW)の2段ジュール・トムソン型冷凍機を使用した。4Kステージの冷却能力は0.1Wと限られているが、輻射シールドに金メッキを施し、赤外線フィルターにザイテックスを使用するなどして、熱流入を極力押さえ、超伝導素子を3.5K以下に十分に冷却できるシステムとした。また、常温から第2段ステージが3.5K以下で熱平衡状態になるまでの冷却時間も8時間程度ときわめて良好である。標高4800mの南米チリ・アタカマ高地での運用でも低地での性能とほぼ同様の性能が得られることを確認した。
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