研究課題/領域番号 |
11440113
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
水野 清義 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (60229705)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1999年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
|
キーワード | 電子スピン / 表面磁性 / 電界放射 / 走査トンネル顕微鏡 / 低速電子回折 / スピン偏極走査電子顕微鏡 / モット検出器 / 2次電子 |
研究概要 |
本研究のねらいは、表面の電子スピン状態をナノメートルオーダーで解明する手法を開発することである。そのために、走査トンネル顕微鏡探針を電界放射電子銃として用い、表面局所領域(ナノメートルスケール)から放出された2次電子のスピン偏極度をモット検出器によって測定する装置を開発することを最終目標としている。 。当該研究期間に以下の事項を明らかにすることができた。(1)走査トンネル顕微鏡探針を電界放出の条件で安定に動作させることができた。バイアスは14V〜50V、電界放出電流は0.1nA〜1nAの範囲で動作させた。(2)そのときの探針-試料間距離とバイアス電圧の関係を調べた。その結果、探針-試料間距離は探針先端形状に大きく依存しており、探針先端が先鋭でないと散乱電子は検出できないことがわかった。(3)電界放出の状態で、試料表面からの散乱電子をマイクロチャンネルプレートを用いて検出することができた。(4)探針-試料間の電場の影響を防ぐために、円筒対称型の探針シールドを考案し、その効果を計算した。この探針シールドを実際に用いることにより、散乱電子の検出効率を著しく高めることができた。(5)ナノメートルスケール低速電子回折の可能性を示すことができた。(6)同一探針により、走査トンネル顕微鏡として原子分解能を得ることができた。その際、探針シールドが悪影響を及ぼさないことも確認した。(7)蛍光物質を用いた小型のモット検出器を製作し、十分な感度が得られた。 現在のところ、散乱電子の総量が少ないこと、および、電界放出の条件が探針先端,の形状に大きく依存することから、電子スピン偏極度の計測には至っていない。しかし、以上の研究成果により、試料表面垂直方向へ散乱電子を引き込み、モット検出器でスピン偏極度を測定する装置開発の目途が立ったので、近い将来、モット検出器での検出を達成できるものと期待している。
|