配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2001年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2000年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1999年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
多価イオンが中性分子と衝突して複数の電子を捕獲することで生成する多重励起状態は,外殻に電子が多数あるのに内殻に空軌道があるため,中空原子と呼ばれる.この中空原子が同時に2個以上の電子を放出する場合,放出電子の運動エネルギーと放出角度が測定することができれば,電子相関を直接的に観測できると考えられる.広い立体角と十分なエネルギー分解能を得るために,弱い磁場を用いた磁気トラップ型のドリフトチューブと位置敏感型二次元検出器を使用することを決定した.この目的のためには磁場の中で動作可能で,かつ高速で応答する二次元検出器が必要である.そこで高抵抗フイルムとバックギャモン型アノードを組み合わせた新しい方式を考案し,これを実用化することに成功した.また,デジタルオスロスコープを用いた飛行時間測定において,解析アルゴリズムを改良した結果,1ns以下の非常に高い時間分解能を達成することができた.多価イオンは都立大に設置されている電子サイクロトロン共鳴型イオン源から供給されるが,飛行時間の原点とするために電気的パルスによるビームのパルス化を行った.また,時間と位置の分解能を高めるために標的気体は揖音速分子ビームとした.以上の衝突装置および分析装置と検出器を組み合わせて,多重オージェ電子分析装置を製作した.電荷移行反応と電子放出を起こした多価イオンの価数を分析して,放出電子との同時計測を行なうことで中空電子の電子状態を特定することが可能となった.
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