研究分担者 |
岡田 知己 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30281968)
松澤 暢 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20190449)
海野 徳仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30004477)
趙 大鵬 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (70304665)
松本 聡 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40221593)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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研究概要 |
本研究は,活断層への応力集中機構の解明を目指して,活断層周辺域の地殻不均質構造-すなわち3次元地震波速度構造・減衰構造・異方性構造・散乱係数分布・S波反射体構造等について,詳細な調査を試みたものである.さらに,活断層周辺の応力場の情報を抽出すべく,活断層域およびその周辺で発生した中小地震のメカニズム解や震源過程の調査,およびb値の時空間分布の調査を試みた.これらの系統的な調査により,以下にみるように,活断層への応力集中機構を理解する上で重要な進展がみられた. 地震波トモグラフィの研究では,最上部マントルから下部地殻にかけて分布する部分溶融域の存在を見出した.さらに,そこから地殻上部に向かってH_2Oが上昇する様子をも写し出した.そこには,上部地殻の地震発生層全体を断ち切った地震の震源域が位置している.すなわち,メルトやH_2Oが下部地殻や上部地殻に局在すること,それが地震発生に密接に関わっていることを示唆している.流体が存在すれば,そこではせん断強度が小さくなり,局所的に短縮変形が起こり易くなることが期待される.実際,そのような場所でプレート衝突方向の短縮量が局所的に大きいことが,GPSデータの解折から見出された。これは,活断層への応力集中過程にH_2Oが重要な役割を果たしていることを強く示唆するものである。 さらに,1998年雫石地震(M6.1)の震源域近傍で実施された人工地震実験の波形データを詳しく解折することにより,震源域の地震波速度と散乱体の分布が,地震前後の約3ヶ月の間に変化したことが見出された.変化量はわずかであるが,工夫することにより波形の微細な変化から情報を抽出したもので,このような短期間での変化は原因が流体(H_2O)の移動にあることをうかがわせる.ここでも地震発生へのH_2Oの関与を示唆している.
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