配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
本研究は西太平洋からアジアにかけての地域に構築してきたGPS連続観測網を基礎として,この地域のGPS観測成果を統合してアジア地域の詳細な変位速度ベクトル場を算出し,この地域のテクトニクスを支配するメカニズムを解明することを目的とした.データは我々自身のもののほか,Wang et al.(2000)など,入手しうる限りのものを用い,統一した基準座標系ITRF97に準拠して共通のIGS観測点での速度ベクトルの残差の二乗和が最小となるように全体のベクトルを調整した.この結果,アジアの変形場はインドの衝突の影響が大きく,その影響は東南アジアや日本列島まで及んでいることが解明された.特に指摘すべきはチベットから東へ向かうベクトルが,中国の鮮水河断層帯を境にその西側で大きく時計回りに回転して南に向かい,断層帯の東側はSouth China Blockとなって剛体的な東向き変位を示していることである.中国大陸内では,多数の断層帯に区切られたブロックが相対的に運動していることが示唆されるため,ここではHashimoto and Jackson (1993)によるブロック断層モデルによってモデル化した.この結果,インドの衝突により,中国大陸が左右に押し出されていく様が再現された.また,前記の断層帯における変位場の急変も明瞭である.この断層帯の南側にはスンダブロックとの協会となるRed River断層帯が存在する.そこで,我々はその南側のインドシナ半島においてGPS観測を実施し,Red River断層帯のブロック境界としての役割を検討した.その結果,インドシナ半島は全体的に剛体として考えられること,Red River断層では,ある幅をもって変形が分布していること,などが明らかになった.
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