配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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研究概要 |
地殻大地震の発生について重要な知見が得られた.西暦679年〜2002年の1324年間に日本列島内陸部の20km以浅の地殻に発生したM5.7以上の直下型地震約370個について,その分布を日本列島下の3次元地震波トモグラフィーと比較した.その結果,内陸直下型地震の多くは地震波低速度域の周辺で発生していることがわかった. 1995年兵庫県南部地震と2000年鳥取県西部地震も顕著な低速度域(速度偏差5〜6%)の付近で発生した.東北、関東、中部及び中国地方北部のような火山地域では,地震波低速度域は火山及び地下のマグマ溜まりに起因すると推測される.このような地域では,活火山,地殻内S波反射面,低周波微小地震が低速度域に分布し,また低速度域とtopography highとの良い相関が見られる.上部地殻内の微小地震の下限は活火山の下では浅くなっている.これらの事実から,地殻内の高温異常領域が低速度域を形成するため,そこでは強度が弱くなり,塑性変形を起こしており,直下型大地震はその周辺で発生し易いと思われる.紀伊半島,四国と中国地方の南部でも顕著な低速度域が見られ、地殻大地震はその周辺域に分布する傾向がある.これらの地域は沈み込み帯の前弧側に位置しており,熱流量と地温勾配が小さく,地温が低いことがわかっている.また,地表には火山が見られない.これらのことから,以上のような地域にある低速度異常体は高温によるものとは考えにくい.兵庫県南部地震の震源域の微細地殻構造を推定した結果,地殻中の水が兵庫県南部地震の発生に重要な役割を果たしたことが解かった.大地震と水との関係が,初めて詳細にわかるようになってきた.一般に地殻内の水の起源としては,地殻内の鉱物の脱水,間隙水,地上の降水・海水の浸透などが考えられる.兵庫県南部地震震源域の水の起源はもう1つの可能性は西南日本下へ沈み込んでいるフィリピン海プレートからの脱水である.
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