研究課題/領域番号 |
11440136
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前 晋爾 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80022672)
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研究分担者 |
藤田 秀二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30250476)
郷原 一寿 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40153746)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2000年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1999年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
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キーワード | 氷 / 誘電率 / 電磁波 / 南極 / 氷床 / レーダ / マイクロ波 / 電気伝導度 / 電波 |
研究概要 |
氷床氷体中のレーダ波伝搬過程と内部物理構造の解明を目的とした一連の研究を実施した。研究では、まず、氷結晶の複素誘電率の知識のコンパイル作業を実施した。特に、氷体の物理条件である、温度・密度・圧力・結晶方位・不純物濃度によってこの値がどう変動しうるかを明らかにした。知識の現状とその限界を明らかにした(研究発表の項参照)。 第二に、南極大陸氷床で、日本と同様のレーダ観測データを蓄積している英国ブリストル大学のグループとの共同研究を実施した。英国グループの得た2周波観測(60MHzおよび300MHz)のデータと日本の南極観測で得られた2周波観測(60MHzおよび179MHz)のデータとの比較検討を実施した。その結果、60MHzの周波数を用いた観測結果の特徴が、両国のデータセットで非常に良く一致することを見いだした。これにより、南極の遠隔地域が、共通の内部構造をもっていることと、日本の実施した2周波数観測の解釈を、英国の所持する膨大なデータにも適用可能なことを見いだした(研究発表の項参照)。 第三に、南極の氷床コアのもつ高周波電気伝導度プロファイルをもとに、計算機実験によりレーダエコーを計算機上で再現する試みを実施した。氷床内の一部では、計算機実験の結果と実測が良く一致することを見いだした。 第四に、レーダシグナルの分析に基づき、南極頂部の氷が異常に小さな高周波誘電率をもつことを見いだした。氷の高周波誘電率は通常3.15付近にあるが、南極頂部では、800m深付近を最大として、その深層側でも浅層側でも誘電率は通常値よりも0.1-0.2前後低下する。この現象は、近年指摘され始めた、氷床頂部の氷の格子振動或いは結晶構造の異常との関連がある可能性があるが、現象の素性の詳細はまだわからない。今後さらに詳細な調査が必要である。こうした異常な誘電率は、電磁波の反射・散乱メカニズムにも影響を及ぼしている可能性があり、今後のさらなる調査を要する。
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