配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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研究概要 |
本研究では我々がこれまで培ってきた遷移金属錯体によるボラン・ルイス塩基付加物活性化反応を利用してM/B比の大きいメタラボランの合成法を確立することにあった.ルテニウム有機金属錯体とBH_3・THFとの反応でRu_2B_3・Ru_2B_4・RuB_4の骨格を有するクラスター化合物の合成に成功し,さらにそれらのクラスターホスフィン類との反応により,M/B比の大きいRu_2B_2,RuB_3骨格に変換することに成功した. BH_3・THFと[Cp^*RuCl]_4との反応ではnido-[(Cp^*Ru(μ-H)}_2B_3H_7](1)を生成し,1はさらにBH_3・THFと反応して反応nido-{(Cp^*Ru(μ-H)}_2B_4H_9](2)を生成する.1とホスフィンとの反応によるクラスター骨格の壊変,組み替え反応はホスフィンの種類による.PHPh_2およびP(OPh)_3との反応ではPR_3がクラスターの底辺の金属部位に付加をしてarachno-[(Cp^*_2Ru_2PR_3)(μ-H)_2B_3H_7](3)を生成する.P(OR)_3の場合にはさらにこれが脱水素転移反応を起こしてnido-[(Cp^*_2Ru_2(μ-P(OR)_2}(μ-H)_2B_3H_5(OR)](4)を生じる.塩基性の強いPR3との反応ではBH_3・PR_3の脱離を伴い,[(Cp^*Ru)_2(μ-H)(PR_3)B_2H_5](5)を生じる.RにPh基が含まれる場合には5の加熱によりベンゼンの放出と骨格構造の改変を伴い,[(Cp^*Ru)_2(μ-PR_2)(B_2H_5](6)を生成する.6はクラスター骨格の構造がフラクショナルな性質を持つことがNMRにより示された.5と大過剰のPR_3の反応ではクラスターがバラバラの単核に壊変するが,6ではそのような反応を示さない. 嵩高い置換基C_6Me_6を含む[(C_6Me_6)RuCl_2]_2とBH_3・THFとの反応では,金属部位が1つしか人らないarachno-[(C_6Me_6)RuB_4H_<10>](7)が生成した.7とPMe_3との反応ではBH_3・PMe_3がはずれて,arachno-[(C_6Me_6)Ru(PMe_3)(B_3H_7)](8)を生じる.すなわちこの場合にもホスフィンとの反応によりM/B比を変えることができることが示された.
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