研究課題/領域番号 |
11440241
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物形態・構造
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40250104)
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研究分担者 |
宮村 新一 筑波大学, 生物科学系, 講師 (00192766)
堀 輝三 筑波大学, 生物科学系, 名誉教授 (90057563)
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,700千円 (直接経費: 13,700千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | 葉緑体 / 分子系統解析 / 形態進化 / rbcL遺伝子 / 細胞機能 / 緑色植物 / 微細構造 / ピレノイド / 機能推測 / 遺伝子導入 / 緑色 植物 / RbcLタンパク質 / CO_2濃縮機構 / atpB遺伝子 / psaB遺伝子 |
研究概要 |
本研究では完全にピレノイドを欠くChloromonasに近縁であるChlamydomonas等の6株を取りよせて詳細な微細形態学的観察と生理学的特性に着目した比較生物学的研究を実施した。その結果、これら6株はすべて葉緑体内にRuBisCOの集中したピレノイド構造をもつが、RuBisCOの集中度が低く典型的なピレノイドスターチに囲まれていないものと、RuBisCOの集中度が高く典型的なピレノイドスターチをもつものに分類された。前者のピレノイドをもつものはピレノイドを欠くChloromonasと同様に低い細胞内の無機炭素の濃度を示し、後者はChlamydomonas reinhardtiiと同程度に高い値を示した。更に、rbcL遺伝子1128塩基対を用いた詳細な系統解析を実施した。その結果、「高濃度のRuBisCOをもつピレノイドスターチで囲まれたピレノイド」が「細胞内の高い無機炭素の濃度」に関係している事が強く示唆された。これはピレノイド構造とCO2濃縮機構に関する今まで示唆されたことのない具体的な関係である。 更にクロロモナス系統群におけるrbcL遺伝子を比較分子進化学的手法で調査した。即ち、クロロモナス系統群11株を含む計56株の緑藻綱のrbcL遺伝子、atpB遺伝子およびpsaB遺伝子を分子系統学的に解析し、これらの結果を相互に比較した。その結果、外群からのクロロモナス系統群のrbcLのアミノ酸置換数は他の"CW group"の約2倍であった。また、クロロモナス系統群内部のrbcL遺伝子に基づく50%以上の信頼度で支持される系統関係はatpBおよびpsaB遺伝子に基づくものと基本的に矛盾する点が認められ、矛盾点は本系統群内部のピレノイドの有無に関連した特定のrbcLアミノ酸置換と相関する事が示唆された。この事はクロロモナス系統群におけるピレノイド形態の著しい多様性がその共通の祖先におけるrbcLの高アミノ酸置換を背景としており、ピレノイドの有無がピレノイドを構成する主要蛋白質RubiscoのRbcLの分子レベルの性質に直接的に起因する可能性をはじめて示唆した。
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