研究概要 |
酸化亜鉛薄膜を原子レベルで平坦なサファイア基板c面上にレーザーMBEで成膜することによって、エピタキシャル成長を行うことができ、面内の配向や表面の極性の制御も実現した[I.Ohkubo et al.,Surf.Sci.Lett.443,L1043(1999)]。その結果、化合物半導体超格子と同レベルの品質を持つZnO/MgZnO超格子が作製でき、量子効果によるギャップのブルーシフトが観察された[A.Ohtomo et al.,Appl.Phys.Lett.75,980(1999);75,4088(1999)]。一般に半導体の価電子制御を行うためには薄膜の品質向上が不可欠であるため、さらに結晶性向上を目指し、酸化亜鉛薄膜と非常に格子整合性が良いScAlMgO4基板を採用することによって、単結晶レベルの結晶性を有する薄膜を実現した[A.Ohtomo et al.,Appl.Phys.Lett.75,2635(1999)]。その結果、エキシトン発光特性が向上し[T.Makino et al.,Appl.Phys.Lett.76,3549(2000)]、同じく高品質のZnO/MgZnO超格子とCdZnO/MgZnO超格子の室温エキシトン発光が明瞭に観測され[T.Makino et al.,Appl.Phys.Lett.77,975(2000);77,1632(2000);H.D.Sun et al.,Appl.Phys.Lett.77,4250(2000)]、ZnO/MgZnO超格子において室温でエキシトンの誘導放出が観測された[A.Ohtomo et al.,Appl.Phys.Lett.77,2204(2000)]。以上のように、p型酸化亜鉛の作製に関しては当初の目的を達していないが、酸化亜鉛薄膜のバンドエンジニアリングは大幅に進歩した。
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