研究概要 |
アモルファスシリコン(a-Si:H)太陽電池は,電力用太陽電池の主力として期待されているものの,高速作製時の光劣化が長年にわたる大きな解決すべき課題となっている.最近,a-Si:H薄膜作製に用いるシランプラズマ中に発生するSiクラスタが,光劣化と密接に関係する可能性が指摘されている.本研究は,クラスタの新しいその場測定法を用いて,シランプラズマ中のSiクラスタの成長機構を明らかにするとともに,Siクラスタ成長抑制と堆積膜との関係を明らかにすることを目的として行った. その結果,次のような成果を得た. 1)従来のデバイスクオリティ薄膜作製条件においてもナノクラスタが大量に存在する. 2)熱泳動力,ガス粘性力,パルス放電,水素希釈によりクラスタを大幅に抑制可能である. 3)クラスタ抑制型プラズマCVD装置を試作し,この装置により微細構造パラメータが0.02以下,ショットキーセルの光劣化後の曲線因子が0.53以上と,従来にない極めて高いレベルでの超高品質a-Si:Hを成膜可能な事を実証し,クラスタ抑制がa-Si:H薄膜の品質にブレークスルーをもたらすことを明らかにした. 今後は,上述の成果をされに発展させて超高品質a-Si:H薄膜太陽電池の量産技術を確立する事が重要である.
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