研究課題/領域番号 |
11450055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機械工作・生産工学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
池野 順一 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10184441)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
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キーワード | レーザ加工 / 3次元微細加工 / 穴あけ / 硬脆材料 / クラックフリー / ガラス / YAGレーザ / 透過特性 / 3次元 / 微細加工 |
研究概要 |
従来、「穴あけ加工」は材料にストレートな穴を形成することを意味している。これは如何なる従来技術を用いても、自由形状の穴あけが困難であったために生じた常識である。しかし、自由方向の穴あけが可能となれば,新たな製品機能開発、生産工程や部品点数の削減、材料の適用範囲の拡大など、モノづくりに計り知れない波及効果が期待できる。そこで本研究では、オプトエレクトロニクス精密部品、精密構造部品、電子部品などに多用されるガラスセラミックスを対象に自由形状の穴あけ加工法を確立することを試みた。ここでは、全く新しい概念に基づいた「3次元レーザ微細加工法」を提案した。すなわち、従来レーザ加工では材料のレーザ光吸収特性に着目し、「レーザ光を吸収する材料ほどよく加工できる」という概念が存在していた。しかし、本研究で提案するレーザ加工法は、材料のレーザ光吸収特性のみではなく透過特性にも着目し、「レーザを吸収しない材料は、3次元微細加工ができる」という新しい概念を有するものである。具体的に本研究で明らかになったことは以下の通りである。 1)レーザ加工における材料除去メカニズムは、レーザ光線を吸収する物質が加熱され、その周辺で蒸発し易い材料から除去されること 2)除去後の加工部には、最後まで蒸発し難かった材料が加工変質層として残留していること。 3)ガラスセラミックスでは、YAGレーザ光線(λ=1.06μm)を吸収し易いアルミナが主成分となって残留するため、母材よりもYAGレーザ光線を吸収しやすい変質層であること。 4)レーザ光線の照射方向を様々に変えることでレーザ光線は母材を透過して加工変質層に吸収され、3次元で自由方向の穴あけが可能となった。 5)3次元穴あけが進むと深穴になるため、溶融除去時の穴内部の圧力上昇が顕著になり、材料が破裂してしまう。加工穴深さには限界がある。 6)その限界を突破する方法としては、溶融した材料を飛散させずに加工変質層のみを形成する。その後、変質層と母材が成分比で異なっていることを利用してエッチングで加工穴を仕上げる。 7)上記の開発した手法を用いて、螺旋状の深穴や広い内部空間が形成可能となった。 以上より、今まで不可能であった "母材と変質層のレーザ透過特性差を利用したガラスセラミックスの3次元穴あけ"に成功した。 今後はさらに自由度の高い内部加工へと研究を展開させる予定である。
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