| 研究概要 |
本研究は平成11年度および12年度の2年間にわたり,実験・理論の両面から回転場における乱流境界層の安定性・不安定性に関する挙動を明らかにするものである.平成9〜10年度科学研究費補助金により建造した直径3.8mの大型回転テーブル上に流路壁面の曲率半径1000mm,2000mmの曲がり流路(100×400mm)を搭載し,流速計による流れ場の測定と圧力変換器による圧力場の測定により,流路壁面の曲率,流路の回転数の影響を実験的に系統的に明らかにした.その結果,以下の結論を得た.
(1)曲率が大きくなると,凹面側では流路の曲がりによる不安定化作用により,乱れがさらに助長されて遷移が早められる.一方,凸面側では安定化作用による乱れは抑制されるが,その作用が最も効果的に働く最適な曲率が存在する.また曲率の差異が遷移に与える影響は,凹面側に比べて凸面側の方が小さい.
(2)主流のレイノルズ数の違いにより遷移時の局所レイノルズ数は,Re=1.8x10^4の場合より3.6x10^4の方が大きい.また,それはBrasiusによる平板の遷移レイノルズ数(〜10^6)より小さい.
(3)系の回転による影響は,遷移過程前後において大きく現れる.凹面上においてコリオリの力による正圧側では乱れが増大され負圧側では減衰される.また,その影響は速度分布にも現れる.しかし,凸面側において正圧側ではほとんど変化がなく,負圧側では境界層暑さ中央部での乱れが増大する.
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