研究概要 |
マイクロ熱交換器に関して,伝熱管を細管化することによって伝熱性能を上昇させ,容積を飛躍的に小さくするための伝熱性能の研究を行った。マイクロ熱交換器の特性を生かすために,冷媒R134aを作動媒体とする実験を行い,その結果に基づいて,極細管を用いたチューブフィン熱交換器を製作しその性能試験を行った。また,マイクロ熱交換器の設計にあたっては,入り口部での気液二相流の分配問題が重要になる。その不均等分配に関して基本性質を明らかにする研究を行った。 1.HFC134aに関しては,0.5〜3mm管の伝熱管内沸騰熱伝達率の実験データを取得した。蒸発管の入り口のクオリティが0.1以下あるいは過冷却状態の時には,作動媒体の流れが不安定(スラグ流化)になり,熱伝達率も大幅に低下すること,1mm以下の伝熱管では,クォリティが0.5を越えると管壁のドライアウトに起因する伝熱低下が発生することが明らかになった。3mm以上の伝熱管との伝熱特性の違いに基づくと,マイクロ熱交換器を使うときに,作動媒体の入り口状態を制御しなければメリットが出ないことも分かった。 2.細管内熱伝達性能の測定に基づき,内径1,2,4mmの伝熱管を用いたチューブフィン熱交換器を設計製作し,熱交換器設計モデルの検証と管内径の最適化を行った。冷媒側の圧力損失を上げずに所定の伝熱性能を維持する熱交換器を設計すると,内径2mmのところに最適な状態が有り,熱交換器の容積は4mm管を用いる場合と比べて30%以上削減できることが明らかになった。 3.ヒートポンプサイクルの膨張機構を出た後の気液二相冷媒の複数の蒸発管への分配に関して,管径に応じて冷媒流動を支配している物性が異なるので,管径が小さくなるにしたがって,支配的になる物性値を確認し,流動様式を観察しながら,細管に適した冷媒分配機構を検討した。冷媒の偏流量の発生メカニズムを明らかにした。
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