研究概要 |
本研究は高温状態での流動層の熱流動数理モデルの構築を目標としたものであり,常温から高温状態までの流動層内の流動状態のX線ラジオグラフィによる可視化画像定量計測を行った.これに並んで日本原子力研究所における同じ試験流動層を用いた常温状態での可視化,さらに進んで流動層内の石炭などを模擬した粗大粒子の挙動,気泡周りの層材の速度分布,管群を装着した熱交換器モデルの伝熱実験,空隙率のCT計測および流動層内で特に問題になるセグレゲーションに関する検討を行った. 得られた結果を以下に列挙する. 1.中性子ラジオグラフィによる管群内空隙率分布の時間変動特性ならびにCTによる3次元分布計測し,熱伝達特性との対応関係を明らかにした.管の配列ピッチによって空隙率は影響され,特に層材の運動が激しい管間部分で大きな熱伝達特性を示した.また管群における空隙率およびその変動特性,形成される気泡径,気泡上昇速度を求めるとともにドリフトフラックスモデルに基づくこれら特性量の相関式を求めた.特に気泡径に関しては管の存在の影響を組みこんだ相関式を提案し,管群配置の異なった結果に対しても精度よく予測できることを明らかにした. 2.中性子ラジオグラフィによるセグレゲーション過程の可視化を行い,浮遊性粒子,沈降性粒子のセグレゲーションにいたる動的な特性を明らかにした.また粗大粒子と気泡運動の相関を明かにした. 3.X線ラジオグラフィによる高温流動層の可視化定量計測を行い,中性子ラジオグラフィと同様の,空隙率分布およびその変動特性,気泡径,気泡上昇速度を求めた.層温度の上昇によって気泡の発生が認められる気泡流動化開始速度は変化しないが,低温では気泡発生領域が層の上部に限定されるのに対して,高温状態では層全体で気泡発生がみとめられた.したがって同じ気相容積流束であっても高温状態のほうが層内の攪拌性能が高いことが明かとなった.また中性子ラジオグラフィによって求めた各種特性量の高温状態への適応性について検討した.
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