研究概要 |
本研究では,将来の高速なマルチメディア通信網の高度化を実現する要素技術の確立をめざし, (1)マルチメディアルータの構成技術 (2)階層化リンク共有技術を利用したマルチメディア情報のオンデマンド検索・情報配送技術に注目して研究を遂行した. (1)に関しては,MPLSのトラヒックエンジニアリングを実装する際の高速ラベル検索の実現法について検討を行い,CAM(連想メモリ)を利用し,QoSクラスに応じた適応的パス選択を行うための高速ラベル検索機構を提案した.既存のCAMの動作速度データに基づき検索エンジンの処理能力を評価した結果,10Gbpsオーダの回線処理能力を実現できることを明らかにした.次に,次世代マルチメディアルータのバッファ管理方策として,アクティブフローの認識機構を有し,出力ポート・優先クラス・フロー単位で階層的にバッファ空間と出力回線への転送レートを配分することにより,フロー間の公平性,ならびにクラスに応じたフロー単位のQoS保証を達成するバッファ管理機構を提案し,部分的ではあるが,バッファ管理部に注目してVHDLにより論理設計を行った. 次に,(2)に関して,高度VODシステムを実現すべく,本研究で提案し,性能評価により有効性を確認したBurst-VOD方式に対応した基本機能のみのプロトタイプシステムをインターネット上にソフトウェア実装した.さらに,本システムを実際に動作させ,干渉トラヒックが存在しない状況では正常な映像転送が可能であることを確認した.次に,干渉トラヒックに強靭なVoDシステムを実現するために,一般的なMPEG映像転送に注目し,QoSの改善を図る制御として,エンド-エンド間の制御(フレーム種別に応じた優先クラス転送,フレーム間引き,フレーム間パケットのシャッフル転送)と,中継ルータでの制御(クラス別REDパケット廃棄制御,クラス別転送スケジューリングWRR,RR)を組合わせて転送した場合の性能改善効果を計算機シミュレーションにより定量的に明らかにし,特に,WRRの有効性,最も低優先度のBフレームRED制御の有効性などを明らかにした.
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