研究概要 |
本研究では,マルチメディアトラヒックに対して,与えられた周波数資源及び電磁環境の範囲内で最適なアクセス制御方式を選択するための制御アルゴリズムの開発,具体的には,TDMA, CDMA及びランダムアクセス方式を,システムの導入環境,サービス形態,電磁環境特性などに応じて選択し,常に最適なシステム形態でサービスが提供できる技術を完成させた. 本研究においては,以上の要求を満足させるための技術分野として,(1)電磁波干渉が存在しても安定した通信回線を確保するための適応伝送技術,(2)受信機に混入する電磁波干渉を抑えるための干渉・雑音対策技術,(3)電磁波干渉の影響を避けながら適応的に周波数資源を割り当てる適応周波数資源割当技術,(4)電磁環境やシステム内のトラヒックに応じてより効果的なアクセス方式を選択する適応アクセス制御技術を研究の中心にすえている.その中でも特に,TDMAにおいては,帯域の狭い多数のサブチャネルを用いてブロードバンド伝送を行う直交周波数分割多重(OFDM : Orthogonal Frerquency Division Multiplexing)を適用したOFDM/TDMAシステムにおいて,電磁環境の状態に応じて適応的にサブキャリアを選択することでTDMAスロット割り当てを大幅に簡略化する適応サブキャリア選択方式や,ダイナミックな遅延スプレッドの変動に対してOFDMの一定の伝送品質を確保するための適応ガードインターバル制御方式を開発し,TDMA方式の大幅な伝送能力向上をも実現した.また,システムの総合特性の評価を行った結果,TDMAとCDMAには,ともに万能ではなく,電磁環境条件に応じてそれらを使い分けることが有効であること,適応無線制御や適応周波数割り当て制御を用いることで,電磁環境のダイナミックな変化に対して柔軟に対応できることが明らかになった.
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