研究課題/領域番号 |
11450164
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
制御工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 英紀 東京大学, 大学院・新領域創成化学研究科, 教授 (10029514)
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研究分担者 |
山本 茂 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (70220465)
大石 泰章 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 講師 (80272392)
津村 幸治 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教授 (80241941)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | モデル / システム同定 / 4SID法 / 複雑さ / 学習理論 / 制御系 / 適応制御 / パラメータ追従制御 / 赤池情報量基準 / モデル集合同定 / サンプル複雑度 / モデル駆動制御 / 逆モデル / 運動制御 / ブレンディングコントロール / 内部モデル制御 / モデル集合 / 複雑度 / 情報量基準 / スイッチング制御 / 部分空間同定 / 熱交換器 / 線形パラメータ変動システム / 統計的学習理論 |
研究概要 |
本課題では次の3つのテーマを中心に研究を行った。 (1)時間的に変動するシステムをオンラインで同定するための精度のよい高速同定アルゴリズム(2)モデルの複雑度の解析とその定量化、および学習との関連(3)時間的にパラメータが変動するシステムのパラメータ追従制御方式の確立 まず(1)については「4SID法」とよばれる多変数系の同定手法を逐次化することに成功した。これによりこれまでは使えるデータをためてオフラインで同定することしか出来なかった「4SID法」がオンラインリアルタイムで使えるようになった。また、オンライン化された「4SID法」の様々の構造的な特徴を明確にし、制御に使いやすいアルゴリズムをまとめることが出来た。これは本課題の大きな成果である。 次に(2)についてはモデル集合の同定を学習理論と結びつけ、精度と必要なサンプル数との間の関係をもとめ、それを「複雑度」として定式化した。「複雑度」とモデルの不確かさの間の関係についてこれまで得られた結果をさらにr複雑度」と制御系性能との間の関係まで拡張することを試み、一定の成果を得た。モデル選択の問題を単にモデルだけでなくそれにもとづく設計の良否を視点としたこの結果はロバスト制御に新しい領域を切り開きつつある。 最後のテーマ(3)は制御に関連しており(1)(2)における成果を統合するものであるが、これについては多彩な成果を得た。H^∞制御に関する結果はこれまでの成果を本研究課題の文脈で捉えようとしたものであり、必ずしも満足すべき結果には至っていないが今後への期待をつないでいる。モデル集合の位相的な性質について幾つかの基本的な結果を得たが、これを時変系に拡張することは今後の課題である。時変制御と適応制御を結びつける枠組の構築にもそれなりに成果をもたらすことが出来た。 3年間の研究の進展を通して「モデルの複雑さjは制御の基本問題であり、時変系を取り扱う場合は幾つかの本質的に新しい概念と手法が必要となることが明らかとなった。 「モデルの複雑さ」の概念を時変系に拡張するにはモデルのカテゴリーの問題だけでなく、モデルの時間的変動にかかわる挙動の複雑さという問題が新しく生じてくる。この問題はこれまでパラメータの変動速度の上限などの形で表現されているが、より表現力の大きい制御問題を定式化しやすい新しい概念が必要であろう。このような複雑度の定式化にもとづく時変システムの新しい有効な制御の方式の開発とその理論的な定式化は今後の課題である。
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