研究概要 |
LiNiO_2,LiCoO_2などのリチウム複合酸化物はリチウム電池用電極材料として、現在最も注目を集めている材料の一つである。これらの薄膜化も多くの研究がある。しかしながらそれらは気相法、蒸着法、スパッタリングあるいはゾルーゲル法などの高エネルギー消費型の手法であり、また得られる膜の特性もまた不十分である。本研究ではこれらの薄膜を水溶液中で直接作製することができることを示す。 主な成果は以下の通りである。 1.Ni基板をLiOH水溶液中で水熱電気化学処理することによりLiNiO_2薄膜が生成することを確認した。 2.生成温度は80℃以上であるが、120〜150度が最適であった。 3.反応過程はNi→Ni(OH)_2→NiOOH→LiNiO_2である。 4.Co板をLiOH溶液中で水熱電気化学処理することによりLiCoO2膜が生成する。 5.LiCoO2は室温でも電気化学により生成するが、低温では立方晶相が混入する。100℃以上では六方晶相のみとなる。 6.反応過程はCo→HCoO_2^-→CoO_2^-→LiCoO_2。 7.溶液中に酸化剤(H_2O_2など)を加えるとCoO_2^-の生成が加速され、LiCoO_2膜の形勢に有利となる。 8.フロー式反応容器を用いるとLiCoO_2膜の生成が容易となる。 9.本法の応用により、Pt,Ni,グラファイトなどの基板上へLiMO_2膜を形成することが可能となった。 10.以上の結果から、活性なLiMO_2薄膜が水溶液中で各種基板上に直接作製できることがわかった。
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