配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2000年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1999年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
|
研究概要 |
本研究では,複合強化型セラミックスの靭性強化機構について,破面間相互作用の定量化を中心とした研究を展開した.実験手法としては,1)分光法による破面間応力の直接測定,2)R-曲線挙動の観察,並びに3)クラック開口変位の解析を採用した.分光法による応力測定では,破面間に沿って大きな引っ張り応力が発生していることをその場測定により明らかにできた.また開口変位の解析では,アーウィン放物線からの「ずれ」に着目しながら,そこに働いているであろう破面間相互作用の大きさと分布を推定できた.その際の観察クラックとしては,SEPB試験片を中心に検討したが,実験技術の簡便さを考慮して,ビッカース圧子によるIF試験片の採用も一部試みた.その結果,IF試験片では臨界負荷条件(クラックの進展開始条件に近い応力条件)近辺での測定しかできないと言う制限はあるが,クラック先端からある一定の範囲におけるクラックプロファイルの測定値は,信頼できる可能性があることを見出すことができた。またその結果は,分光法による結果やR-曲線挙動から得られた架橋応力推定値とほぼ一致するものであった. 研究は,当初はモノリシックセラミックスを中心に着手したが,その後にはいくつかの複合強化セラミックス(セラミック/金属複合体,セラミック/セラミック複合体,ガラスセラミック/金属複合体など)に展開し,さらには比較のために,破面間相互作用の少ないガラスやシリコン単結晶などにも展開できた. 得られた結論を端的に整理すると,破面間相互作用の発現領域はクラックに沿ってかなり長く,外部印加荷重に対しては線形的にレスポンスする性質が極めて顕著であった.その結果,通常のモノリシックセラミックスや複合強化セラミックスに発現する破面間相互作用の実体は,弾性架橋機構が主体的であると結論された.
|