研究概要 |
本研究では埋込み光ファイバにより自己診断機能を有する金属系スマート複合材料の創製を目指し,アルミニウム系複合材料およびCFRP/アルミニウム積層材料を対象に基礎的事項を検討した.本研究で石英系光ファイバを埋め込む対象としたマトリックス材料はアルミニウムおよびエポキシ樹脂である.後者の場合には容易に埋込み可能であるが,前者の場合には通常の固相プロセス,液相プロセスでは光ファイバは著しい損傷を受けるので,浅沼が開発した界面層形成・接合法の適用により埋め込み可能とし,特に予備亀裂を導入した極めて脆弱な光ファイバも破断させることなく埋め込み可能であることを明らかにした.浅沼が提案した光ファイバセンサ形成法,すなわち予備亀裂を導入した石英系光ファイバをマトリックス材料内で破断させ光干渉型ひずみセンサをその場形成させる方法を本研究に適用するため,まず予備亀裂を1箇所導入した光ファイバをエポキシ樹脂に埋込み,透過光をモニターしながら引張りにより破断させ,光干渉型のセンサが形成されることを確認した.試料が曲げられた時の光損失を利用するセンサの場合には,光ファイバ単位長さ当りの亀裂数が多い方が良いため,エポキシ樹脂の場合について亀裂ピッチの影響を調べたところ,引張りにより破断させる場合にはピッチが4mm以上必要であり,そのピッチを狭めるためには曲げによる破断が有効であることを明らかにした.アルミニウムマトリックスの場合にもほぼ同様の結果が得られた.亀裂を3mmピッチで15箇所導入した光ファイバを埋込んだ長さ60mmのCFRP/アルミニウム積層材料を熱変形させた時の曲率と光透過損失との関係を調べたところ,光透過損失は曲率の増加と共に単調に増加することが明らかになり,曲率のモニターに適することが実証された.
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