配分額 *注記 |
14,500千円 (直接経費: 14,500千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1999年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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研究概要 |
本研究は連続体力学を基礎とした従来の弾塑性破壊力学の抱える諸問題,すなわち破壊靭性に及ぼす拘束効果,板厚効果,ひずみ速度効果,ばらつき,冷間加工等の影響などを破壊形態に応じた破壊過程の微視的尺度での定式化を通して体系的に明らかにし,さらに材料及び破壊形態に応じた形での新しい破壊力学の構築を目的としている. 特に本研究では鉄鋼材料のへき開型脆性破壊を対象に,最弱リンク概念に基づいたWeibull型の破壊条件をき裂材に適用し,へき開型破壊靭性の定式化を試みるとともに,実用鉄鋼材料の破壊靭性評価に際してのJ積分,CTODなどの弾塑性破壊力学パラメータの適用限界,試験片寸法要件などについて実験的,解析的に検討した.き裂端の特異応力場解析とへき開破壊のWeibull形破壊条件とを組み合わせることにより,鉄鋼材料のへき開形破壊靭性は材料のへき開破壊応力と降伏応力との比のべき乗に比例することが解析的に示される.丸棒切欠き試験片と破壊靭性試験片と用いて実験的に求めたへき開破壊応力と破壊靭性との関係は解析的予測に良く一致し,鉄鋼材料のへき開形破壊靭性の定式化が可能であることを示した.さらに,この結果を基に破壊靭性に及ぼす冷間加工の影響,照射脆化,動的負荷すなわちひずみ速度の影響を実験的に調べ,定式化された破壊靭性からこれらの影響が定量的に予測可能であることを示した.また,Ni添加による靭性改善の機構を降伏応力,へき開破壊応力に及ぼす影響として明らかにし,従来の冶金的アプローチとは全く異なる力学的視点からの解析を試みた.定式化したモデルによれば破壊靭性に及ぼす諸因子の影響は材料のひずみ硬化指数nとWeibullへき開破壊応力の形状母数mとに強く依存する.破壊靭性の板厚効果,拘束効果(降伏規模の影響),ばらつきの程度を寸法の異なるCT試験片による破壊靭性試験を行って実験結果と上記Weibull応カクライテリオンに基づく解析的予測と極めて良く一致した.破壊靭性評価において現行のJ, CTODに基づいた破壊力学的評価の適用限界は材料のn値,m値に強く依存することを実験的,解析的に検証することができた.この結果は一昨年のASTMの破壊靭性試験方法規格の改訂とほぼ整合するものであった.
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