配分額 *注記 |
8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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研究概要 |
Acoustic Emission (AE)では、実体波と誘導波(中空,中実丸棒や角棒)の音源位置とダイナミックスを解析するための世界で最先端のツールを完成させた。誘導波AEでは、縦波用圧電素子の高速振動を人工破壊源に用いて,初動SOまたL(0,1)波に対する一括応答関数を求め、仮定した破壊速度との畳込み積分で求まる波形を、検出波形とマッチングさせる方法を開発した。一連の方法を用いて,高強度鋼板の水素誘起割れや水素脆性破壊,ボイド生成のダイナミックスを推定した。高強度鋼の遅れ破壊中の微小割れは、レイリー波速度(1500m/s)に近い速度に達し、波動エネルギーを保持できなくなるためサブクラックを発生させることなどが明らかになった。誘導波AEは1MHz程度の市販共振型AEセンサーでも検出できるので、実体波AEては解析不可能であった超高速破壊が明らかになったが,遅れ破壊の生成速度は焼入れ高炭素鋼の純機械的破壊のそれよりも遅い破壊であることを明らかにした.また,水素吸蔵Ti-Pt合金では,水素ボイドの発生時に脆性破壊よりもはるかに大きな超高速(高周波数)のAEが検出されるが,水素化物から放出された水素の突発的膨張の可能性があることなど,金属中における水素の挙動に関する新しい知見をえた. また,軸方向および断面内の音源位置を,少ないAEセンサーで標定する方法を世界に先がけて提唱し,誘導波(中空,中実丸棒や角棒の場合)では1個のAEセンサーで標定する方法を提唱した.このために必要な誘導波の速度分散,モーダル解析のための解析ソフトを独自に開発し,インターネット上に公開した. オーステナイト系ステンレス鋼のSCCでは,粒内型割れではAEは検出されにくいが、粒界型SCCでは十分な振幅を持ったSCCが検出されることを明らかにした。PVD-TiN皮膜を持つSUS304鋼のTiN皮膜破壊を用いて電位振動の一括応答関数を決定し、電位振動のダイナミックスを調べた.TiN膜が1.5μs以下の高速破壊をしても、電位は9.3mmV/s程度の変動しか示さないことから、電位振動からSCC破壊を解析するには限界があることが判った。ウエーブレット変換を用いて電位振動の時間一周波数解析を行った結果、SCC潜伏期では0.2Hz以上が支配的であるのに対し、SCC伝播期では0.2Hz以下が多いことなど,これまで未解析の事実を明らかにした.また、AEの検出されない粒内型SCCにおける電位振動は、粒界型SCCで観察される周波数よりもはるかに小さいことが明らかになった。卑方向への電位振動では、特に初動の周波数成分に注目すべきことがわかった。
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