研究分担者 |
稲津 晃司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (70272698)
泉 康雄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (50251666)
中野 義夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30092563)
大山 聖一 (財)電力中央研究所, 狛江研究所, 主査研究員(研究職)
宮崎 あかね 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (80293067)
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研究概要 |
メタノールは低温で燃焼することから窒素酸化物を排出しない燃料として,燃料電池用の水素源として,また,化学製品の原料として注目されている.燃料電池自動車技術の発展などにより将来メタノールの需要は増加すると予想されており,高効率なメタノール合成技術の開発が期待される.そこで注目されているのが低温液相メタノール合成である.低温液相メタノール合成は以下に示す二つの反応により構成され,第二段階目のギ酸メチル水素化分解反応(2)が律速となっている. CH_3OH+CO→HCOOCH_3 (1) HCOOCH_3+2H_2→2CH_3OH (2) 本研究室では高活性を示すラネーニッケル-ナトリウムメトキシド複合触媒系による低温液相メタノール合成について研究してきた.本研究では,均一成分であるナトリウムメトキシドのギ酸メチル水素化分解反応における役割をさらに〓く調べるとともに,ラネーニッケル以外の金属触媒を探索し,低温液相メタノール合成用完全不均一触媒系開発の足がかりとすることを目的とした.今まで報告されているニッケル?ナトリウムメトキシド複合触媒系の他に,コバルト,銅,鉄,パラジウム系の低温液相メタノール合成反応とギ酸メチル水素化分解に対する活性を調べた.ニッケル系ではニッケルの表面積により活性の差が見られた.また,銅および鉄系触媒が反応速度はニッケル系に比べ劣るものの活性を持つことを見出し,新規触媒系開発の可能性を示した.これらの差はギ酸メチル水素化分解能によって生じるものであり,金属の水素活性化能のみならず金属の表面状態,特に吸着したナトリウムメトキシドとの相互作用が関係しているとした.ニッケル?ナトリウムメトキシド複合触媒系によるギ酸メチル水素化分解反応の触媒機能を明らかにするため,ニッケル粒径(0.02μm,submicron,5-7μm),ナトリウムメトキシド添加量(0-1.0g)および添加方法(担持型,物理混合型)を変化させ,ギ酸メチル水素化分解反応を行った.ニッケル表面上に吸着したナトリウムメトキシドはギ酸メチルの分解反応((1)の逆反応)の触媒として働くのに対し,溶解したナトリウムメトキシドがギ酸メチルと反応し中間体を形成し,水素化分解反応(2)を促進するとした.また,ニッケルが水素を活性化し,生成した中間体の水素化反応を促進していることを明らかにした.
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