研究課題/領域番号 |
11450315
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物・生体工学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
室岡 義勝 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60029882)
|
研究分担者 |
平山 令明 東海大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70238393)
小野 比佐好 大阪大学, 遺伝情報実験センター, 助手 (40224274)
山下 光雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40220347)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2001年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
|
キーワード | 重金属 / メタロチオネイン / タンパク質工学 / SH基高含有タンパク質 / 重金属結合タンパク質 / DNA binding / Arsenic |
研究概要 |
メタロチオネインの構造と生体防御機能との相関について検証するため、タンパク質工学手法を用いてヒトメタロチオネインのアミノ酸置換を行い、タンパク質の主体構造を変換することにより重金属結合能、放射線耐性機能、活性酸素によるDNA損傷に対する防御機能及びフリーラジカルとの反応性に及ぼす影響を調べる目的で、下記の研究を行った。 1)まず大腸菌による野生型および変異型ヒトメタロチオネインタンパク質の生産方法と精製方法を確立した。 2)以前当研究室でデザインした2量体および4量体メタロチオネインタンパク質を精製し、ZnおよびCd結合量がモノマータンパク質の2倍および4倍となることを確認した。 3)重金属親和性を評価するために、pHタイター法を導入した。 4)11種類の変異タンパク質を構築し、インテイン融合タンパク質として高発現させた。幾つかの変異MTは重金属結合量が減少したが、結合量が1原子増えたものが得られた。 5)重金属結合量が増えた変位タンパク質について金属との解離度などを詳細に分析した。 6)ホモロジー分子モデルおよび関連する有機金属錯体の構造から置換可能なアミノ酸残基を検索し、11番目のアスパラギン酸と28番目のセリンが侯補として予測できた。 7)これらアミノ酸をシステインに置換し、大腸菌により生産し、金属結合量を調べたところ、変位型ヒトメタロチオネインは、カドミウムおよび亜鉛を1原子多く結合することが確認された。この様に、初めて重金属結合能を増加する天然メタロチオネインが構築できた。 8)毒素金属の中でもヒ素とメタロチオネインが結合できることを証明した。分光光学法、ICP-AES法およびMALDI-TOF-MSにより、ヒトメタロチオネイン1分子あたり6原子以上のヒ素と結合できることを初めて明らかにした。 9)DNAとの相互作用を調べるため、野生型および変異型メタロチオネインとプラスミドDNAとの結合を分析した結果、変異型と野生型では泳動距離に差があり、環状プラスミドDNAの量も多かった。 以上の研究により、初めて金属結合能を増加した天然メタロチオネインの作成に成功したこと、メタロチオネインは細胞内で種々の重金属(カドミウム、亜鉛、銅、ヒ素)と結合して解毒作用をするのみならず、核内においては金属と結合した形状でDNAと結合して、DNA結合タンパク質の機能をしていることが示唆された。
|