研究課題/領域番号 |
11450334
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機工業化学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
橋場 稔 岐阜大学, 工学部, 教授 (90021617)
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研究分担者 |
平松 宏一 岐阜大学, 工学部, 教授 (30021596)
櫻田 修 岐阜大学, 工学部, 助手 (10235228)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2001年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2000年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1999年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | 炭化珪素 / 炭素 / 炭化ホウ酸 / 鋳込み成形 / 分散 / 流動 / 高分子分散剤 / 水系 / 炭化ケイ素 / 炭化ホウ素 / 水素 |
研究概要 |
我々は、セラミックスプロセッシングの研究の一環として、成形法に着目し、研究を行ってきた。成形法の一つである鋳込み成形において、水系における成形法を確立することは、環境負荷低減のためにも望ましいものと考えられる。SiCの焼結には、その難焼結性のため、炭素及び炭化ホウ素が添加される。これらのセラミックス粒子は、その表面が疎水性のため、水系で鋳込み成形するには適当な分散剤を選択する必要がある。本研究では、スチレン-マレイン酸共重合体(SM)やナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物(DEMOL-AS)の塩を分散剤として泥漿に添加し、水酸化テトラメチルアンモニウムでpHを11近傍に調節すると、分散安定化が図られ、かつ、濃厚化が可能であることが明らかとなった。ここで、SiCとB4Cは表面が僅かに酸化されているためpH11付近で分散安定化する。このことを確かめるためSiC粒子表面を人為的に酸化し、流動挙動を調べたところ、酸化が進行すると流動性が向上することが明らかとなった。一方、炭素は泥漿の流動性に大きな影響を及ぼし、SIC-C-B4Cのようなヘテロ粒子を含む泥漿の分散性の向上と濃厚化を図るには、炭素の分散性の向上がkey processであった。このことは、炭素の泥漿に対する添加量が少ないとはいえ、そのサイズがナノスケールであり、比表面積が極めて大きいこと、表面の疎水性が極めて大きいことに起因しているものと考えられた。上記分散剤のうちDEMOL-ASは炭素の分散に極めて効果的であった。このことは、SMがその構造中にベンゼン環を有しているのに対し、DEMOL-ASはナフタレン環を有していることが原因として考えられる。即ち、水系泥漿中において、分散剤構造中のナフタレン環が炭素表面に吸着し、スルフォン酸基が水中に拡がる構造をとり、分散安定化していることが示唆された。 上記、高分子分散剤を添加する系ではpHを11程度にする必事があった。それに対し、オキシ酢酸ジルコニウムを添加すると、弱酸性領域(pH3.5)で安定で濃厚化可能な泥漿を調製することが可能であることを見出した。興味あることに、オキシ酢酸ジルコニウムはSiC粒子表面にほとんど吸着せず、またゼータ電位の低下をきたさないことも見出した。このことは、新しい分散機構の存在を予期させるものである。この弱酸性で分散し、濃厚化が可能であることを利用し、尿素のウレアーゼによる加水分解反応をこの系に適用することにより、新規成形法の開発の可能性があることを明らかにした。
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