研究課題/領域番号 |
11450370
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子構造物性(含繊維)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
野村 春治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (10026073)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 動的赤外分光法 / 赤外吸収二色性 / セグメント化ポリウレタンウレア / 分子運動 / 凝集構造 / 球晶構造 / 赤外光学系の異方性 |
研究概要 |
動的赤外分光システム光学系の改良、ならびに、光学系の異方性に関する機器定数決定のための解析理論式の構築およびそれを用いた光学系各種光学異方性機器定数の厳密決定を行った。 その後、セグメント化ポリウレタンウレア(以下SPUUと略称する)を用いて、静的延伸配向状態での赤外分光測定を行い、静的データより得られる各吸収バンドの最大吸収強度、吸収バンド位置、ならびに吸収バンド巾の延伸比依存性より動的測定データを計算機シミュレーションを行った。その結果、動的フィルム厚変化は体積一定変形で近似できることが確認された。 次いで、赤外吸収スペクトルの動的変化を個々の吸収バンドの最大吸収強度、吸収バンド位置、吸収バンド巾、ならびにフィルム厚の動的変化の線形和と近似した分離定量評価解析理論式を構築し、データ解析プログラムを開発した。また、静的データからの動的データのシミュレーション結果との比較検討を行った。その結果、動的データの分離定量解析が妥当であることが確認された。 SPUUの動的赤外分光学的解析結果における最大の成果は、動的分子配向に関係する動的二色差スペクトルのみならず、官能基の濃度変化に対応する動的平均吸光度スペクトルを用いることの重要性が結論付けられたことである。すなわち、ハードセグメントとソフトセグメント中の、各々、ウレアカルボニル基ならびウレタンカルボニル基に起因する吸収バンドを含む波数領域(1800〜1550cm^<-1>)で測定された種々のスペクトルにおいて、セグメント配向に関係する二色差の動的スペクトルと静的スペクトルの両者の形状は相似的であるが、水素結合をしたカルボニル基の濃度に関係するウレアカルボニルならびウレタンカルボニル吸収バンドの動的および静的平均吸光度スペクトルには大きな相違があり、特に、ハードセグメント中の水素結合したウレアカルボニル基の動的変化量が大きく、動的歪みにより、ハードセグメントのウレアカルボニル基の水素結合が切断していることを見出した。すなわち、ハードセグメントドメインへの応力の伝達は、高分子鎖方向からではなく、高分子鎖に垂直な水素結合したウレアカルボニル基の結合方向からなされていることを意味している。これが、セグメント化ポリウレタンフィルムの静的変形により観察される変形軸に垂直なハードセグメント配向を示す要因である。
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