配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
2001年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2000年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1999年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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研究概要 |
甲殻類の眼柄内に存在するX器官/サイナス腺系で合成,分泌される神経ペプチドのなかには,血糖上昇ホルモン(CHH)族ペプチドと呼ばれるアミノ酸配列の類似した数種のペプチド(アミノ酸残基数72-78)が存在し,糖代謝,脱皮調節などの重要な生理過程を制御している。われわれはこれまでにクルマエビから7分子種のCHH族ペプチドを単離、構造決定し,そのうち6分子種のcDNAをクローニングした。それらは,活性から血糖上昇活性を有するペプチド(甲殻類の血糖上昇ホルモン、CHH)と脱皮抑制活性を有するペプチド(脱皮抑制ホルモン、MIH)に分類される。それらの構造と活性の関係は一次構造の比較からだけでは説明できない。そこで,立体構造のレベルでの違いを明らかにすることによって構造と活性の関係を明らかにすることを目的とした。まず,大腸菌発現系を利用してCHH族ペプチドの一つであるMIHを合成し、リフォールディング反応により活性型に変換することができた。そのジスルフィド結合の様式は天然のペプチドと同じであった。CDスペクトル解析からMIHはα-ヘリックスに富む二次構造を有することがわかった。現在、^<13>Cおよび^<15>Nによる二重標識したMIHを上記と同様の方法で調製し、核磁気共鳴スペクトルの解析から、溶液中での立体構造を解析しているところであるが、これまでに約9O%のプロトンの帰属が終わり、二面角情報とNOE情報からおおよその立体構造を導くことに成功している。現在、さらにCHHのうちの一つであるPej-SGP-Iと名付けたペプチドをMIHと類似の方法で発現し、解析を進めている。 クルマエビで特徴的なことは、1個体に多数の分子種が存在し、それらはおそらく一つの先祖分子から進化してきたものと考えられるが、進化の過程で血糖調節、脱皮調節、卵黄形成調節などの異なる機能を獲得してきたと考えられる。この分子進化の過程を立体構造解析から推測できるかも知れない。
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