研究課題/領域番号 |
11460068
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柴田 叡弌 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30252282)
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研究分担者 |
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 助手 (10283425)
肘井 直樹 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (80202274)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1999年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | 森林昆虫 / 害虫化 / 材木の防御 / 穿孔性昆虫 / ゴール形成昆虫 / 種子食昆虫 / 樹木衰退 / 林木の防御 / スギカミキリ / スギ / ヒノキ / キバチ |
研究概要 |
森林に生息している昆虫は通常、気候などの非生物的因子や寄主植物の抵抗性、捕食・寄生・競合などの生物的因子によって低密度に保たれていると考えれている。しかし、環境ストレスや自然攪乱、不適切な森林施業など様々な要因によって、昆虫の繁殖源となる寄主植物(林木)の質的、量的変化がおこり、その結果、密度レベルが上昇して"害虫化"する場合がしばしばみられる。本研究では、このような森林昆虫の"害虫化"をもたらす要因の一つとして、寄主植物(林木)が本来持つ、穿孔性昆虫、ゴール形成昆虫および種子食昆虫に対する防御機構に着目し、それらの発現様式や防御レベルを左右する近接要因の特定、およびそれらを突破して利用する昆虫の繁殖戦略と林木の健康度の観点から明らかにしようとした。 平成11年度:直径日変化から樹木の水分生理状態を把握することを目的として、樹幹および枝の直径日変化の測定法を開発すると同時に、直径日変化と水分生理状態を表すその他のパラメータとの関係について調査した。また、スギカミキリやアンブロシアキクイムシなどの穿孔性昆虫が樹木を餌や住み場所としてどのように利用しているのかを、その穿孔様式と繁殖特性に結びつけて調査した。 平成12年度:種子食昆虫の資源利用様式と昆虫類の摂食が寄主植物の種子生産と発芽に及ぼす影響を明らかにすることを目的として調査・実験を行った。 平成13年度:コナラやモウソウチクにゴールを形成するタマバチ類、およびタマバチを利用する寄生蜂複合体を対象に、三栄養段階にわたる相互作用系の存在様式およびその特性を明らかにすることを目的として調査した。 以上をまとめると、森林昆虫の繁殖特性は、「林木の昆虫の加害に対する防御戦略」と「それに対する昆虫の攻撃戦略」という微妙なバランスの上で成り立っているということであろう。このことは、環境ストレスや自然攪乱、不適切な森林施業など様々な要因によって、林木に質的、量的変化がおこれば、寄主植物である林木の昆虫の加害に対する防御機構が崩壊し、昆虫の密度レベルが上昇して"害虫化"する場合がしばしばみられることを示している。すなわち、森林生態系の健全な維持や林木の適切な管理が、いかに森林に生息する昆虫の密度を安定的に維持させているかということを示すものである。そうした見地から、本研究は新しい森林昆虫の管理システムを構築する上で、基礎的な情報を与えるものと思われる。
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