研究課題/領域番号 |
11460070
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90092139)
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研究分担者 |
梶村 恒 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (10283425)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30324552)
武田 明正 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024578)
万木 豊 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20127004)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 集団枯死 / カシノナガキクイムシ / ブナ科樹木 / Raffaelea quericivori / 水ポテンシャル / 通水阻害 / 集団的枯死 / ナラ類樹木 / Raffaelea属菌 / ナラ類 / 菌類 |
研究概要 |
ナラ類集団枯死の原因:ナラ類の枯死被害には、カシノナガキクイムシが密接に関連していた。一方、枯死木の材変色部、坑道壁、キクイムシの幼虫と成虫の体表や菌のうからは、Raffaelea属菌が優占的に分離された。この菌は、既知のRaffaelea属10種と形態的に異なることから新種と判断し、R.quercivori sp.nov.と命名した。この菌は、カシノナガキクイムシによって伝播されることが明らかとなり、三重県の個体群は、他の地域の個体群と明らかに形態が異なった。 ナラ類の枯死機構の解明:被害発生地では、ナラ類は夏期に急激に萎凋枯死する。カシノナガキクイムシの加害によって、ナラ類の水ポテンシャル値が急激に低下することから、辺材部で通水阻害が発生して枯死にいたると考えれた。R.quercivoriに対するブナ科樹木の感受性の差異を明らかにする目的で接種試験を行った結果、コナラとミズナラに枯死が発生し、他の樹種は枯死しなかった。R.quercivoriはすべての枯死木から再分離され、その病原性が確認された。ナラ類の枯死被害は、Raffaelea属とカシノナガキクイムシとが関与した世界で最初の事例である。接種後、枯死個体では水ポテンシャルが急激に低下したことから、通水機能に異常が発生し、材部の通水阻害によって萎凋、枯死することがわかった。接種後材部に形成される軸方向の変色と枯死との間には明白な関係がなかったが、放射方向の変色は枯死と密接に関連していることが明らかとなった。すなわち、樹種間の感受性の差異は、R.quercivoriによる放射方向への変色の拡大と関係していた。放射方向の変色は、アラカシで最も小さく、ミズナラでは最も大きかった。また、アラカシでは通水可能な組織が広く、ミズナラでは狭かった。これらのことから、ミズナラは6樹種の中で最も通水阻害を引き起こし枯死しやすい樹種、逆にアラカシは最も感受性が低い樹種でと考えられた。
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