研究課題/領域番号 |
11460072
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小林 善親 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90087594)
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研究分担者 |
中原 光久 (株)九州電力, 電力総合研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2001年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2000年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1999年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
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キーワード | 光合成 / 光呼吸 / 電子伝達 / 脂肪酸 / 樹木 / ストレス / 炭酸固定 / RubisCO |
研究概要 |
樹木葉の光合成、光呼吸および温度ストレス耐性に関係する因子を明らかにするため、クロロフィル蛍光とガス交換速度の同時測定により、木本および草本植物の葉のチラコイド膜を流れる電子の流束(電子伝達活性)、光合成活性(CO_2吸収速度)、光呼吸活性、葉のRubisCO活性、葉緑体ストロマ中のCO_2濃度、葉肉細胞におけるCO_2拡散抵抗などを比較した飽和光照射下(1000μmol m^<-2>s^<-1>)での葉緑体ストロマ中のCO_2濃度は、草本葉において160〜240(μmol mol^<-1>)であったのに対し、常緑樹の葉では100〜170(μmol mol^<-1>)と低く、樹木細胞は大気炭酸ガス濃度(21%O_2,350ppmCO_2)のもとでCO_2不足の状態にあることが明らかになった。これは、樹木葉肉細胞のCO_2透過性が極端に低いことに原因がある。すなわち、葉では葉緑体内のCO_2濃度の低下により光呼吸活性が高くなり、光呼吸の誘導により光化学系II活性の抑制が起こることが示された。また、本研究で開発した葉の電子伝達測定法は、トリエン脂肪酸合成酵素(FAD遺伝子)の発現を阻害した形質転換植物の機能解析に有効であり、生体膜を構成している脂肪酸不飽和度の低下によって形質転換タバコの高温ストレス耐性能力が著しく向上することを見出した。 以上の研究により、(1)大気炭酸ガス濃度のもとでの葉の最大光合成活性は、葉肉細胞のCO透過性に依存すること、(2)葉内の炭酸ガス濃度の低下とともに光呼吸が増加し、光化学系IIの量子収率が低下すること、(3)生体膜のCO_2透過性が低いことが樹木葉の光合成能力を低下させている原因(律速因子)であること、(4)生体膜を構成している脂質のトリエン脂肪酸含量の減少(FAD-7遺伝子)の発現抑制)によって植物の高温耐性能力が向上することが明らかとなり、植物の物質生産に関係する律速因子とストレス耐性に関与する遺伝因子が特定された。
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