研究課題/領域番号 |
11460075
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤川 清三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50091492)
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研究分担者 |
船田 良 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (20192734)
竹澤 大輔 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20281834)
荒川 圭太 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00241381)
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90226043)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | 寒冷環境適応 / 凍結挙動 / 細胞壁 / 深過冷却 / 細胞外凍結 / 低温誘導性蛋白質 / 不凍蛋白質 / 遺伝子クローニング / 木部放射柔細胞 / 凍結 / 細胞壁結合蛋白質 / シラカンバ / 電子顕微鏡 / 低温環境 |
研究概要 |
平成11年度から開始し、本年度で終了する本課題研究では、樹木の寒冷地適応と細胞壁の構造特性について研究を行った。多年生植物で高木の樹木の木部柔細胞は強固な厚い・硬い細胞壁を持つ一方、皮層柔細胞は比較的薄い・柔らかい細胞壁を持つ。当研究では、樹木構成細胞中最も凍結抵抗性が低いために、その凍結抵抗性の限度が樹木の寒冷地への適応の限界要因となっている広葉樹の木部柔細胞が、北方樹木の細胞も含め、すべて深過冷却という凍結回避機構により寒冷環境に適応するという新規の知見を低温走査電子顕微鏡を用いた広汎な観察により明らかにした。また、深過冷却のメカニズムが細胞壁のマイクロ・キャピラリーのサイズに基づくという仮説の誤りを、原形質分離法を用いて、細胞外凍結する皮層柔細胞と深過冷却する木部柔細胞の細胞壁キャピラリーのサイズを測定して明らかにした。深過冷却の度合いが細胞(プロトプラスト)内物質の抽出により大きく減少する事実を明らかにし、木部柔細胞内に新規の不凍蛋白質様物質が蓄積する可能性を示した。細胞内蛋白質の季節的変化の解析を行い、深過冷却能力が最も高い冬季に特異的に蓄積する蛋白質において、これまでに知られていなかった高い過冷却能力を持つ不凍蛋白質の候補を見出し、遺伝子クローニングを続けている。これと共に、比較的薄い・柔らかい細胞壁を持つために、他の草本植物の組織細胞と同様に細胞外凍結により寒冷環境に適応する樹木の皮層柔細胞の凍結耐性獲得のメカニズムに関する研究をモデル植物などを用いて研究した。これらの結果は、植物の中でも樹木ならではの特徴的な環境適応機構を明らかにするとともに、未利用資源としての樹木のストレス誘導性蛋白質の利用の可能性を示唆する。
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