配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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研究概要 |
本研究では,1.受精能獲得に伴う精子結合Anti-Agglutinin(AA)の動態,2.AAの精製方法の検討ならびに媒液へのAA含有精漿成分の添加が精子の受精能獲得に及ぼす影響,および3.精子の頭部間凝集を制御する細胞内情報伝達経路の3テーマについて検討し,テーマ1および3において有意義な結果が得られた。本要約ではこれらの2テーマの概要を示す。 受精能獲得誘起処理に伴う精子結合AAの変化を観察した。ウエスタンブロッティングにより検出されたAAをデンシトメーターで解析したところ,精子結合AAは処理開始当初の45分間で処理前の試料の約半分まで減少したが,その後の減少は緩慢であった。間接蛍光抗体法による観察結果によると,処理に伴う精子結合AAの減少は精子頭部の先体において認められた。以上の結果から,精子結合AAの多くは受精能獲得過程の初期段階において精子先体から解離することが明らかになった。 精子での頭部間凝集反応において炭酸水素イオン・アデニール酸シクラーゼ(AC)・cAMP・タンパク質キナーゼ(PK)系が果たす役割について頭部間凝集アッセイにより検討した。試料に100μM forskolin(AC活性化剤)を添加した場合の凝集精子率は対照区と比べて有意に高い値であった。またforskolinの代りにPKA活性化剤のdbcAMP(1〜1,000μM)を添加すると,凝集精子率は濃度依存的に有意に上昇した。しかしながら,dbcAMP(1,000μM)とともに,PKA阻害剤のRp-cAMPS(1,000μM)またはH-89(5μM)を添加すると,dbcAMPの作用により上昇した凝集精子率は優位に低下した。以上の結果から,炭酸水素イオン・AC・cAMP・PK系は精子の頭部間凝集を制御する細胞内情報伝達経路として機能すると考えられる。
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