配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
心停止者の肝を同所性に移植すると,脳死者の場合より類洞内皮細胞障害が高度に生じる。従って,心停止者の肝を肝移植に用いる場合には,類洞内皮細胞を保護することが必須となる。 類洞内皮細胞の生存,維持にはVEGFが必須である。また,VEGFは類洞内皮細胞の増殖を促進するが,その一方でporosityを増大し,また,そのpericyteである星細胞の収縮を抑制することによっても,類洞血流を調節することが判明した。しかし,冷保存肝では肝細胞におけるVEGF発現は増強していたが,類洞内皮細胞はその障害に先行してVEGF受容体の発現が消失していた。従って,VEGFが存在しても有効に作用し得ないことが,類洞内皮細胞障害の要因となる可能性がある。さらに、外因性にVEGFを補充することではそのviabilityを維持するのは困難と考えられた。 移植肝ではクッパー細胞が活性化しており,これも類洞内皮細胞障害の要因になる。活性化クッパー細胞はオステオポンチンを発現することを見出した。本因子はTh1免疫応答の開始に必須のサイトカインであるが,遺伝子型の異なるマウスを用いた検討からマクロファージの肝浸潤に必須のケモカインであることも証明した。従って,オステオポンチンの発現を調節することで,クッパー細胞を介した類洞内皮細胞障害を制御できる可能性がある。そこで,B6マウスのオステオポンチンcDNAをクローニングし,これを肝細胞に特異的なhuman serum amyloid P蛋白のプロモーターを有する発現ベクターに組み込み、トランスジェニックマウスを作成した。このマウスを用いることで,移植肝の内皮細胞障害における本因子の役割を検討中である。
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