研究課題/領域番号 |
11470154
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北畠 顕 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00124769)
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研究分担者 |
藤井 聡 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (90291228)
岡本 洋 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (50260394)
上出 利光 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2000年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1999年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 心筋再構築 / 血管新生 / VEGF / T細胞 / 心筋細胞移植 / CTLA4Ig / オステオポンチン / CTLA41g |
研究概要 |
我々は、不全心筋の再構築過程に、心筋血流低下と分配の異常、ことに血管新生による毛細血管構築の破綻が加わり、さらに心機能を悪化させる機序を想定し、不全心筋においても血管新生療法の有用性が成立するかどうか明らかにすることを目的に本研究を行った。また、同時に血管新生関連遺伝子の過剰発現系を確立することを目的とした。拡張型心筋症モデル動物を用いた検討結果から、心不全期に心筋細胞密度が減少し、線維化組織容積が増大するとともに微小血管ことに細静脈性毛細血管密度が減少していること、VEGFの遺伝子発現が抑制されていること、また、薬物治療により心筋線維化が抑制されるとともにVEGFの遺伝子発現、細静脈性毛細血管密度が回復することを観察した。さらに、微小血管構築解析の新たな手段として、SPring8による解析手法の開発に着手した。まず、仮説の正当性を検定するため、アデノウイルスにターゲットとなる遺伝子を組み込み心筋に直接導入する手法を考案した。従来、アデノウイルスによる遺伝子導入ではアデノウイルス自身が異物として認識され免疫学的な反応を誘導するという問題があった。そのため我々は免疫学的機序の中でも、T細胞のcostimulatory signal抑制の効果を検討した。ラット移植心、自己免疫性心筋炎モデルを用いた検討において、アデノウイルスに組み込んだCTLA4Ig及びCD40がT細胞のannergyを誘導し、その結果病変を改善しうることを見出した。この手法の開発は、自己免疫性心筋炎、細胞性免疫の関与する拡張型心筋症、その他、心疾患以外の自己免疫疾患にも治療法としても有効と考えられる他、将来、アデノウイルスをはじめとした遺伝子導入法の臨床応用を見据えたものである。すなわち、特定の遺伝子のon-off系を付加したアデノウイルス投与以外にもVEGFなど特定の遺伝子を過剰発現させた心筋細胞、線維芽細胞、内皮細胞などを同種移植する際、或いは、異種移植をする際に極めて有効な方法と考えられる。本研究では、さらに、オステオポンチンがTH1型の細胞性免疫機構の極めて上流に存在し、心筋障害ばかりでなく、肺におけるgranuloma形成、あるいは、動脈硬化初期病変を惹起することを確認した。血管新生に関するVEGF遺伝子の心筋内直接投与については、以前から血管腫形成が誘導される可能性が指摘されていたが、我々も個体死を促進することを見出し報告した。従って、VEGF単独では遺伝子導入による治療上の実効に疑問が残り、ターゲット遺伝子としてangiopoietin1及び2遺伝子をVEGFとともに心筋導入する必要性が示唆された。また今後、VEGFを過剰発現した心筋細胞移植の試みに着手し、さらに確認される必要があるものと考えられる。
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