研究分担者 |
八尾 厚史 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
原田 和昌 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
松井 浩 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30282669)
清水 達也 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
本研究の目的は、虚血・再灌流心筋における転写因子hypoxia-inducible factor 1α(HIF-1α)の発現並びに機能的意義を明らかにすることであった。特に、HIF-1αの重要な標的遺伝子である血管内皮成長因子(VEGF)や誘導型-酸化窒素合成酵素(iNOS)の心筋細胞における発現調節機構を解析した。 1)心筋細胞におけるVEGFの発現調節機構:まず、新生仔ラット由来の培養心室筋細胞を用いて、リポ多糖(Sugishita Y,et al.Biochem Biophys Res Commun,2000)、アデノシン(Shimizu T,et al.投稿準備中)の投与によりVEGF遺伝子の発現が亢進することを報告した。他方、10日目ニワトリ胚由来心室筋細胞(CEVM)を用いて、胎生期心室筋細胞におけるVEGF遺伝子の発現機構についても報告を行った(Sugishita Y,et al.,J Mol Cell Cardiol,2000)。 2)心筋細胞におけるiNOS遺伝子の発現調節機構:CEVMにおけるリポ多糖誘発性のニワトリiNOS遺伝子発現には、転写因子NF-κBの他に、転写因子Ets-1が重要であることを報告した(Takahashi T,et al.Mol Cell Biochem,submitted)。 3)CEVMにおけるHIF-1αcDNAのクローニングと発現解析:RT-PCR法およびRACE法を用いて、CEVMよりHIF-1αの全長cDNAを単離した。ニワトリHIF-1αのアミノ酸配列はヒトHIF-1αと高い相同性(約79%)を示していた。HIF-1α mRNAの発現レベルはCEVM、ニワトリ胚心臓において高く、この転写因子が胎生期心血管系の発達に寄与している可能性が示唆された(Takahashi T,et al.Biochem Biophys Res Commun,2001,in press)。
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