研究課題/領域番号 |
11470217
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | (財)生産開発科学研究所 |
研究代表者 |
向山 政志 財団法人生産開発科学研究所, 成人病科学研究室, 研究員 (40270558)
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研究分担者 |
丸山 隆幸 小野薬品工業(株), 創薬第一研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | プロスタグランディン / プロスタノイド受容体 / 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / メサンギウム細胞 / ノックアウトマウス / 高血圧 / 細胞外基質 |
研究概要 |
腎臓のプロスタノイド受容体の病態生理的意義の解明を目的として研究を行い以下の成果を得た。 1.培養メサンギウム細胞を用いた検討 糖尿病における腎プロスタノイド系の役割を調べるため、高グルコース濃度下で培養したラットメサンギウム細胞を用いて検討し、対照の約3倍に亢進した増殖能およびTGF-β、fibronectinの遺伝子発現がEP_1受容体antagonist添加で完全に抑制されることを見出した。そしてこの機序としてCOX-2の発現亢進によるPGE_2産生増加に加え、EP_4を介する作用の減弱のためautocrine PGE_2/EP_1系の相対的亢進が生ずることを示した(Kidney Int)。また自然発症高血圧ラット(SHRSP)由来培養メサンギウム細胞において、対照WKY由来細胞と比べ、PGE_2の増殖およびERK/MAPキナーゼ活性化作用が亢進し、その機序としてEP_4 signaling減弱による相対的なEP_1 signalingの亢進が重要であることを示した(J Hypertens)。このように、腎臓でのプロスタノイド受容体の変化が病態形成に関与する可能性が示された。 2.糖尿病モデルにおける検討 糖尿病性腎症における腎プロスタノイド系の意義を明らかにするため、streptozotocin誘発1型糖尿病ラットモデルを用いてEP_1 antagonist投与の効果を検討した。12週間のEP_1 antagonist投与により、糸球体腫大やメサンギウム増生に対する著明な改善効果と糸球体内TGF-β、fibronectin遺伝子発現の抑制とともに、蛋白尿のほぼ完全な抑制を認め、糖尿病性腎症の発症・進展に腎臓内のPGE_2/EP_1系が深く関与することを示した。現在マウスにても同様の処置を行い、解析中である。 3.血圧および食塩代謝に及ぼす作用の検討 高血圧ラット(SHRSP)モデルにおいて、高血圧進行の始まる生後10週より4週間EP_1 antagonistを投与したところ、血圧上昇および悪性腎硬化症様の組織変化に対し、改善効果を認めた。さらにEP_1欠損マウスでは2%食塩負荷の際の水利尿不全を認め、尿細管EP_1が食塩負荷時の利尿に関与する可能性を示した。一方、ラット副腎にはEP_4受容体が存在し、アルドステロン分泌に関与することを示した(Endocr J)。
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