研究分担者 |
片山 時孝 東海大学, 医学部, 助手 (40214332)
津田 道雄 東海大学, 医学部, 助教授 (00102848)
長坂 義秀 テルモ株式会社, 開発研究所, 研究員
上田 善継 テルモ株式会社, 開発研究所, 研究員
米倉 政実 茨城大学, 農学部, 助教授 (40134168)
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研究概要 |
乳清タンパク質加水分解物を用いた試作栄養剤(WPH群)が,インドメタシン(IND)潰瘍に及ぼす影響について検討するために,窒素源が異なる市販栄養剤2種(エレンタール(ED群)およびエンシュアリキッド(ME群))を対照に2つの実験を行った。実験1:SD系雄性ラット(n=6〜7)に対して,3種の栄養剤を9日間持続投与し,6日目および7日目にINDを皮下投与した。その結果,小腸において,WPH群では7匹中1匹(14%)のみに潰瘍が認められたのに対して,ED群では6匹中4匹(67%),ME群では7匹中6匹(86%)と高率に潰瘍が発生した。また,WPH群は他の2群よりも潰瘍数も少なく,WPH群では明らかに潰瘍が抑制されていた。実験2:IND投与前後でWPHとEDを交換してWPH-WPH群,WPH-ED群,ED-WPH群およびED-ED群の4群(n=7〜8)を設定し、誘発される消化管潰瘍を比較検討した。その結果,小腸と盲腸の潰瘍発生率はそれぞれ,WPH-WPH群で14%と14%,WPH-ED群で13%と25%,ED-WPH群で86%と100%,ならびにED-ED群で71%と100%であった。潰瘍数も,WPH-WPH群とWPH-ED群がED-WPH群とED-ED群にくらべ明らかに少なかった。このことから,WPHの抗IND潰瘍作用は予防効果であることが示唆された。これら2つの実験から,窒素源として乳清タンパク質加水分解物を用いた経腸栄養剤WPHには,IND潰瘍の発生を抑制する効果があることが示された。
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