研究課題/領域番号 |
11470297
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
川本 俊樹 獨協医科大学, 医学部, 助手 (50301461)
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研究分担者 |
奥畑 荘司 獨協医科大学, 医学部, 講師 (20194508)
金 彪 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90231290)
渡辺 邦彦 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00230954)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
2000年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1999年度: 10,300千円 (直接経費: 10,300千円)
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キーワード | chronic cord compression / spinal cord / neuronal loss / rat / apoptosis / microvascular anatomy / compression myelopathy |
研究概要 |
我々はラット慢性脊髄圧迫モデルとして、ラット第5、6頚椎椎弓下に膨張性ポリマーを挿入し、ある一定の潜時を経て症状を発現するsublaminal progressive compression modelを開発してきた。脊髄内の前角細胞数は、圧迫開始9週後より減少し始め、24週後には圧迫開始前の66%程度にまで減少することを見出してきた。自発運動量は圧迫開始24週後では圧迫群・非圧迫群間に差は見られず、強制運動能力は圧迫群が有意に低下していることが確認された。この経時的変化における前角細胞数減少の原因に、脊髄圧迫による脊髄の血流障害が関与しているか否か、分子生物学的にapoptotic changeが関与しているのか否かの検討を行った。血流障害の傍証を得るために、silicone rubberを血管内に注入しその血管構築を観察したところ、脊髄灰白質および白質内の静脈拡張が多数認められ、脊髄周囲髄表のpial vesselは圧排閉塞されrubberの流入が認められなかった。このことは、脊髄髄外からの圧迫により脊髄髄内および髄外の循環動態に変化を来たしたことを示唆しているものと考えられる。また、H-E染色上では、脊髄圧迫開始24週後という強制運動能力の低下した時期においても、髄内の空泡性変化は認められず、reversibleは状況であることが示唆された。apoptotic changeの関与について免疫組織学的手法を用いc-Fos、c-Junの産生を検討したところ、これらの産生が前角細胞数減少に先立ち認められたことより、apoptosisが関与していることが強く疑われた。 これまで我々が開発・使用してきたラット慢性脊髄圧迫モデルは、臨床における変形性頚椎症や後縦靭帯骨化症などの病態に極めて類似した経過をとり、その病態解明に十分使用可能なことが判明した。ある一定の潜時を経て症状の発現する小動物を用いたモデルが確立されたものと考えている。 我々はさらに臨床上の問題に関連して、脊髄減圧の効果について検討を行った。これによると、強制運動能力の低下した脊髄圧迫開始24週以後(実際には25週)に脊髄減圧を行っても、強制運動能力の改善がはっきりと認められ、脊髄減圧(手術)の妥当性が示された。現在、さらに長期間の脊髄圧迫群(症状が強く出現しているもの)に対して、脊髄減圧術の効果を検討し、その病理学的変化・分子生物学的変化を引き続き検索している。
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