配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2001年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
研究成果は,軟骨の変性破壊に関与する遺伝子の解明,XI型コラーゲンα2鎖遺伝子の軟骨組織特異的エンハンサーの解析と応用の続行,さらに遺伝子治療と細胞治療などを用いた滑膜と軟骨制御による軟骨破壊抑制〜修復,の各項目に大別される.軟骨変性破壊に関連する遺伝子として,アグリカン遺伝子の関与を椎間板軟骨変性の観点より明らかにし,さらにVDRとの関連も解明した.次に単離解析したXI型コラーゲンα2鎖遺伝子のエンハンサーを含むエレメントを用いて,遺伝子導入により,関節軟骨細胞特異的遺伝子発現を可能とした.さらに遺伝子導入法の検討も行い,関節軟骨へのin vivoでの遺伝子導入を目的とした新たな電極を開発し,高率に導入する手法を達成した.続いて家兎の脛骨骨髄よりmarrow stromal cell (MSC)を分離しその性質を調べた上で,このMSCをin vitroで特定の分化条件下で培養増殖させ,そこへCartilage derived morphogenetic protein (CDMP-1/Gdf-5)遺伝子を導入した.CDMP-1遺伝子発現は導入後1日目より認められ,少なくとも3週間以上の期間は発現が持続していた.CDMP-1による軟骨分化の促進作用は極く軽微である一方,MSCに対する細胞増殖効果を認めた.続いて家兎膝関節の軟骨全層欠損モデルへのCDMP-1遺伝子導入自家MSC移植による軟骨修復実験を行った.総計68羽の白色家兎を用い,膝大腿骨顆間部関節面に既に報告確立した方法で軟骨欠損を作成し,ここに予めそれぞれの兎より採取し増殖させたMSCをコラーゲンゲル内に包埋したもの,またはこれにCDMP-1遺伝子導入したものを移植し,経時的に関節軟骨修復を検討した.まず修復組織内の細胞は移植MSC由来であることを抗GFP抗体で確認した.右膝にCDMP-1遺伝子導入MSC,左膝にコントロールMSCを自家移植したが,右膝の方で明らかに良好な軟骨の修復再生を認めた.組織学的スコアでも同様で,これらの結果からCDMP-1遺伝子導入がMSCの増殖維持に働き,in vivoではそれが軟骨修復にも資することが明らかとなった.以上のように関節軟骨破壊の抑制から修復に向けた各ステップからのアプローチにより,実際的な治療に向けた方策の一端が明らかになったと考えられる.
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