研究課題/領域番号 |
11470359
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
神崎 仁 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051441)
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研究分担者 |
志津木 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10276355)
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00169179)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 音響外傷 / 遺伝子導入 / GDNF / アデノウイルス / モルモット / Shaker-2マウス / 蝸牛 / CDNF / ヘルペスウイルス / マウス |
研究概要 |
音響性聴覚障害においてははじめに蝸牛有毛細胞が障害され、その後ラセン神経節細胞等、蝸牛神経の障害が発現するとされている。GDNFはこのような音響性聴覚障害に対して予防効果を有することが報告されている。一方、遺伝子導入は蝸牛内へGDNFなどを持続的に発現させる方法として注目されている。今回の実験でははじめに遺伝性難聴のモデルであるShaker-2マウスを用いて蝸牛内への遺伝子導入の可能性について検討した。その結果、遺伝性難聴モデルにおいても正常マウスと同様に感染し、遺伝子導入が行われることが確認された。蝸牛支持細胞への導入はP1、P3、P5で不変だったが、その一方、導入された有毛細胞の数は日齢とともに減少した。導入パターンにおいてホモ(変異)型、ヘテロ型、正常マウスの3者間に差異は認めなかった。発達過程において、アデノウイルスによって遺伝子導入された有毛細胞の数が減少していくことが確認された。マウスにおいて、P5でもなお蝸牛支持細胞に対する導入が認められることから、アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入は、有毛細胞の前駆細胞である支持細胞に標的を絞った再生医療などの治療戦略にも適応を拡大できる可能性があると考えられた。次に、このアデノウイルスベクターを用いてGDNFの導入を試みた。ウイルスベクターを用いてGDNFは注入側に強く発現を認めた。GDNFを注入することで、有毛細胞消失後に生ずる、ラセン神経節細胞に対する予防効果は注入側よりも非注入側に非常に強く見られた。また注入側では基底回転により強く効果を認めた。遺伝子導入の技術がラセン神経細胞数の減少を食い止めることが判明した。内耳に対する遺伝子治療には解決すべき問題点は非常に多いが、まず期待されるのは、現存するベクターよりもさらに感染、遺伝子導入効率の高い新しいウイルスベクターの開発が望まれる。同時にウイルスベクターの内耳毒性や臨床応用に向けた投与法の改善についても検討していく必要があるだろう。
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