研究課題/領域番号 |
11470360
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
山下 敏夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (10077654)
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研究分担者 |
岩井 大 関西医科大学, 医学部, 講師 (10232638)
土井 直 関西医科大学, 医学部, 講師 (60288826)
栗山 博道 関西医科大学, 医学部, 講師 (90268350)
米田 元胤 関西医科大学, 医学部, 助手 (20319619)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 浸透圧ポンプ / 局所療法 / 内耳 / 薬剤性障害 / ステロイド / NO / 音響外傷 / カナマイシン / カルシウムイオン / NO合成酵素 / 薬剤性難聴 / 局所治療 / モルモット / 蝸牛 / ABR |
研究概要 |
我々は蝸牛への薬物局所投与に関する研究を行った。まず、微小浸透圧ポンプによる薬剤の蝸牛内持続投与の動物実験系を作成し、対照液の投与では電気生理学的また組織学的に障害を与えないことを確認した。次にカナマイシン全身投与による両側蝸牛障害モデル動物を作成して、一側に薬剤の局所投与を行い、同様に電気生理学的また組織学的に蝸牛障害の程度を投与側と非投与側にて比較検討した。 ステロイドの1種であるデキサメサゾンにおける検討では、1ng/mlの濃度にて最もカナマイシンの障害抑制効果が高く、また障害作成と同時に投与を開始した群と障害作成2日前より投与開始した群との比較では、後者がより高い障害抑制効果を示した。これより障害が完成した後での治療的効果は少なく、障害完成前の段階における予防的効果が高いことが示唆された。一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害薬の検討では、5μg/mlの濃度にて最も高い障害抑制効果を認めた。また一酸化窒素(NO)を特異的に染色するDAF-2DAによる蛍光染色像では、カナマイシン障害後のNOの染色が、非投与側に比べて投与側にて減少する結果を得た。低カルシウム外リンパ液における検討では障害抑制効果を認め、更にカルシウムキレート作用のあるEGTAの低濃度の添加により、その効果の増強を認めた。神経栄養因子であるbrain-derived neurotrophic factor(BDNF)およびneurotorophin-3(NT-3)の混合投与では、それぞれ1μg/mlの濃度にて最も高い障害抑制効果を認めた。グルタミン酸のNMDAレセプターのアンタゴニスト(MK801)の投与では、聴覚閥値におけるガナマイシン障害の抑制効果は明らかではなかった。しかし、有毛細胞の残存率にて、特に頂回転付近での内・外有毛細胞の残存率の上昇を認めた。 これらの結果より、蝸牛内に直接投与を行うことで薬剤性障害を抑制し得る物質の種類・至適濃度が明らかとなった。また、これらは今後遺伝子ベクター等による内耳の局所遺伝子治療の基礎データとして十分に活用できると考えている。
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