配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
血管新生特異的な増殖因子である血管内皮増殖因子(VEGF)の受容体Flt-1を過剰発現するアデノウイルスベクターを作成し、これを用いて血管新生を抑制すると、実験的マウス眼瞼悪性黒色腫の増殖は明らかに抑制されたが、同部に皮膚潰瘍が形成された(Shiose S,et al.Invest Ophthalmol Vis Sci,2000)。また、加齢黄斑変性の網膜下血管新生モデルラットにたいして同じシステムを用いると、網膜下血管新生は確かに抑制されたが、網膜が激しく障害された(Honda M,et al.Gene Therapy,2000)。つまり、血管新生とは、視力障害など生体に害をおよぼすだけでなく、逆に創傷治癒には欠くべからざる現象なのである。当初考えたように血管内皮細胞のみを制御しても、治療のためにはむしろ障害となることがわかったので、創傷治癒過程の炎症、線維化をおさえていわゆる「きれいな創傷治癒」を行うために、組織プラスミノーゲンアクチベーター(Sakamoto T et al,Hum Gene Ther,1999)や、トランスフォーミング増殖因子(TGF-b)を抑制するアデノウイルスベクターを作成した(Sakamoto T et al.Gene Therapy,2000)。この治療により、線維化ならびに血管新生も少ない角膜創傷治癒が可能となった。また、実験的肝硬変の抑制も可能であった(Uenoh et al,Hum Gene ther,2999)。血管新生現象は近年の遺伝子操作技術で可能となったが、生体にとって有益な創傷治癒は、さらに様々な現象を制御することが必要でありさらなる研究が必要である。
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