研究概要 |
研究対象として,九州大学歯学部職員・学生,九州大学歯学部附属病院に来院した顎関節症患者の中から,簡単な質問票によって被験者を選択した.さらに開発したブラキシズム測定用携帯型筋電図測定システムおよび筋電図解析システムによって被験者の睡眠時咬筋筋活動を測定することで,咀嚼筋痛の有無,睡眠時ブラキシズム有無による4つの被験群A〜D群に分類することができた. 選択した被験者に咀嚼筋・顎関節部の圧痛診査および顎の可動域の診査を行った結果,4つの被験群のなかで,咀嚼筋疼痛がある者は圧痛が認められ,顎の可動域が小さくなる傾向にあった.一方,咀嚼筋に対する最大咬みしめ負荷試験を行い,右側咬筋の筋内血流と筋電図を同時に測定した結果,咀嚼筋痛を持つ被験群の疲労負荷試験に対する顎口腔系の反応が異なることが示唆され,被験者によっては筋疲労によって噛みしめ後の回復時の血流が減少している傾向が認められた.また下顎運動・筋電図同時計測解析システムを用い,実験室にてガム咀嚼時の下顎運動と筋電図を測定した結果,睡眠時ブラキシズムがあり咀嚼筋疲労が自覚できる者の咀嚼運動は,可動域が小さい傾向にあった. 本研究では様々な因子を抽出し検討を行ったが,咀嚼筋疼痛の程度は日によって異なり,睡眠時ブラキシズムと咀嚼筋疼痛と関連性している場合と,そうでない場合があることが明らかとなった.
|