配分額 *注記 |
10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
研究者らは,ウサギの三叉神経末梢を頻度5Hz,強度5〜20mAで電気刺激すると,交感神経活動の減少により血圧の低下や心拍数の減少が惹起されることを確認したが,さらに三叉神経に加えられた刺激が,どのような経路で交感神経系に影響を与えているか検討した. 実験には日本白色家兎を用いた.オトガイ神経を50Hzで刺激すると,血圧が上昇する家兎がみられたが,この場合まず血圧低下が生じ,その後血圧上昇が認めれた.その理由として循環動態を亢進させる経路と抑制させる経路が異なり,その結果二相性の反応を示したものと考えられた. 次にイソフルランおよびセボフルラン吸入下でのオトガイ神経刺激の影響をみた.吸入麻酔濃度が0から0.5MACまでは,オトガイ神経刺激により循環の抑制と交感神経活動の減少がみられたが,吸入麻酔濃度を上げるとオトガイ神経刺激によって循環の亢進と交感神経活動の増加がみられた.本研究の結果は,無麻酔あるいは低濃度の吸入麻酔薬投与時においては,オトガイ神経刺激に反応し交感神経活動に抑制的に作用する系が優位であるが,高濃度の吸入麻酔薬使用時には抑制性の系がより強く抑えられ,結果として交感神経活動に亢進的に作用する系が優位となることを示す. さらに延髄の破壊実験を行った.三叉神経脊髄路および尾側亜核の破壊により,眼窩下神経刺激による血圧低下の反応は消失し,この部位が三叉神経から交感神経系への刺激の伝導経路として重要であることが確認された.しかし,血圧上昇の反応は同部の破壊後も残存し,血圧上昇の伝達経路は血圧低下の場合とその伝達経路が異なることが示唆された.一方,吻側および尾側延髄腹外側部の破壊では眼窩下神経の刺激による血圧低下はほとんど影響を受けなかった.両部位は,三叉神経末梢から自律神経系への刺激伝導においては,重要な役割を果たしていないことが示唆された.
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