配分額 *注記 |
11,400千円 (直接経費: 11,400千円)
2001年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2000年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1999年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
本研究では,意図的に選択的腫瘍親和性を有する物質を用いないでどこまで腫瘍蓄積が可能かを探求してきた。制癌剤のような生理活性物質を用いる必要がなく,不活性物質の大量投与で腫瘍残留性に期待することができる本治療法では,このアプローチが,成果を速やかに臨床に適用するには有効であると考えたからである。得られた成果は以下の通りである。 1)キトサンナノパーティクル(nanoCP)は,水溶性が高くそれ自体は細胞親和性の低いGd-DTPAを強く保持すると同時に,Gd-DTPAを細胞内に送り込むためのキャリアーとして働き,腫瘍成長抑制に有効であることが示されたた。この細胞取り込み活性にはエンドサートーシスが関与し,結果的に取り込みは細胞種により異なることが明らかになった。 2)脂質エマルション(nanoLE)は,静脈内投与した場合も,腹腔内投与と同等の腫瘍内Gd蓄積をもたらした.処方検討により,対応するリポソームとは異なり,高濃度でGdを保持しながら粒子径を100nm以下にすることが可能になった.開発した製剤の静脈注射を二回繰り返すことで189ppmにまで腫瘍内Gd濃度を高めることができた。この濃度は,Gd-157を用いればin vivoでの腫瘍成長抑制効果が期待できるレベルであり,経体循環血経由であることを考慮すると,nanoLPでのGdNCT実験から予想される以上の効果を期待させるものである。 3)nanoCPの微粒子化は容易ではないが、新たに開発したエマルション沈殿法は,現状では350nmの粒子の生成を可能にしている。キトサンはその表面に多数のアミノ基を持つことから表面修飾は容易であり,将来的により微粒子化が可能になればGd-DTPAの有望なキャリアーとなる可能性を持っている。
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